2014年1月25日発行。中山幸雄さんが自身のブログ「デジタルノート」で
紹介されている本を、時々、図書館で借りて読んでいる。
本書も、その中の1冊!
中山さんは同志社大学の東京キャンパスで行われている
佐藤優の特別講座に参加もされていたそうです。
弊社の可児さんも参加されているのをFBで拝見しました!
それまでは、佐藤優の著書をまったく読んだことがなかったので、
いい機会だと思い読んでみた。
佐藤優が生まれてから、高校入学までのことが記されている。
その中でも中学校時代に通っていた塾の先生との交流が胸を打つ。
全共闘世代でまともに就職できなかった、面白い人たちが
この時期に塾や予備校の講師になったというのはよく聞く話。
僕自身も京都駿台予備校で教えていた英語の表三郎という先生の話が
やたら面白くてその先生の話だけを聴くために
駿台の短期講習を受けたことを思い出す。
本作にもそうした塾の先生が何人か登場する。
佐藤優の中学校時代を読んで、
ものすごく大人な中学生時代を過ごしていたことがわかる。
精神的に成熟している中学生と
高度な教育を受けて塾の教壇に立っている先生との対話が素晴らしい。
良く、「師」というものは、その時にこの人は「師」だと思ったときに「師」となる、
という禅問答のような言葉があるが、
佐藤優の中学時代はまさにそうした「師」との経験が中学1年生から高校入学まで続く。
佐藤が好きになった先生の特徴は、みな一様に知的好奇心を
刺激するための授業をするというところ。
国語だと、いくつもの本を読んでそのことについて考えたり書いたりする。
数学で言うと、非ユークリッド幾何学の話まで拡げていき未知の世界の扉まで連れていってくれる。
直接的な受験勉強とは関係のないこうした講義から
佐藤優は刺激を受け、もっと勉強したい!と思うようになるのである。
こうした授業が現在、中学校や高校受験の塾で行われているのかはわからないが、
こうしたことを教わることで世界の広さと奥深さを感じることは
絶対に無駄なことではないだろう。
その時に学んだことが
現在の佐藤さんに大きな影響を与えているのではないだろうか?
佐藤さんの文体は硬質で、センテンスが短い。
まるで太い短剣のような力強さがある。
また、本書には塾の先生との交流のほかに、
佐藤さんのお父さんとアマチュア無線にまつわるエピソードや
中学の卒業旅行で、独りで北海道に行ったエピソードなども語られている。
見事、浦和高校に入った佐藤さんの高校時代からの
続きを読んでみたくなった。