午後12時から午後8時40分まで、マシュー・バーニーの世界にどっぷりと浸かった。
2002年に現代美術業界で大変話題になった。
その話だけ聞き、見ることが出来なかった。
今回はチャンスだった。
この、クレマスターシリーズ5作一挙上映は2日間だけの限定上映。
チケットは完売で、僕の席は最後部だった。
「クレマスター1」から「クレマスター5」までを見るわけだが、
制作年度順に順番がついているわけではない。
スターウォーズのようである。
しかし、これらのシリーズにはほとんど連関がなく、
たまーに登場人物の役名が同じ人物が出てくるが、まずわからない。
昨年「金沢21世紀美術館」でみた「拘束のドローイング9」とも似たような
世界をマシュー・バーニーは表現している。
というか、この表現トーンそれこそが、「マシュー・バーニー」であるのかも知れない。
映像は力強く、見ている僕たちに衝撃を与える。
多くは、グロテスクやエロチックな表現になったりしている。
また、衣裳を初めとする色彩感覚が素晴らしい。
特殊メイクにもなみなみならぬ実験精神で臨み、
いろいろな特殊メイクのスタイルに挑戦している。
何時間も見続けていて思った。
これらは全て、身体感覚を表現したいがために行われているのではないだろうか?
人間が体内から、排泄、排出する行為。
身体を拘束されたり、身体を閉鎖された空間に置く事によって
さらに拘束されることになる。暴力や血、体液。ヌーディティ。
全て身体を意識するという行為に集約されている。
彼の表現は言葉が極力に排除されている。
それこそが彼のオリジナリティなのかもしれない。
ときどき出てくる、エログロとは違う、
ココロ現れるような清澄な映像が記憶に残る。
7月28日に「クレマスター3」の後半部分をまとめたDVDが発売される!
マシュー・バーニー「ジ・オーダー」4935円。必見!