フィリップ・デュクフレ振付・演出。あの煤図かずおの傑作「私は真悟」が舞台化された。
しかもミュージカル!だという。主役は「とと姉ちゃん」でヒロインを演じた高畑充希と
「まれ」に出演していた門脇麦。
この二人の間に生まれる真吾を成河が演じる。
舞台上手(かみて)に演奏者でもあるオープンリール・アンサンブルの楽器でもある
オープンリールが三台置かれてあり、その上にたくさんのモニターが設置されている。
小学6年生の真鈴(まりん):高畑充希と悟(さとる):門脇麦が出会い、愛し合う。
結婚して子供を作ろうということになるのだが、どうしたら子供を作れるのかわからない、
そんな彼らに東京タワーのてっぺんの333メートル地点から
一緒に飛び降りると子供ができるということを聴き、二人はそれを実行しようとする。
舞台はそのシーンから始まる。
高畑充希は噂どおりの歌唱力!今後も、彼女の舞台の仕事が控えており楽しみである。
そして、二人の間に「真悟」が生まれた。ちょうど二人の名前を1文字づつもらって。
その子供の真悟は実は産業用ロボットである。
アームを自在に駆使して動き回る産業用ロボットにダンサー数名が黒子となり
アームを動かす。ダンサーの動きが美しく、産業用ロボットの無駄のない
美しい動きと重なって見ていて気持ちがいい。
真悟の見た目はこうしたロボットなのだが真悟の声と
身体を通じて表現するのが成河。
成河が俳優としてどんどんと成長していまやこんなに実力派になったのか?
歌や身体表現なども含めて感心した。
物語自体は2045年に来るかもと言われている「シンギュラリティ」などがテーマになっている。
世界中の情報が真悟のもとに集まり、肥大化してチカラを持つようになる、
人間の欲望が真悟をそんなように育ててしまい。翻弄される高畑充希と門脇麦。
前半60分、20分の休憩があって後半60分の舞台なのでさらっとしている。
そのエッセンスだけを濃縮し難解な物語をあるイメージを持たせることによって
観客に伝えようとしている。
イメージ=トーンを映像や俳優の歌や踊り、そしてサウンドデザインされた
オープンリール・アンサンブルの音たちが集まって作り上げた舞台だった。
作るの大変だったのでは?でもその工夫が本作では生かされており、
驚きのある舞台として昇華していったのではないだろうか?