ロベール・ルパージュ作・演出。
数年前 ルパージュの「月の向こう側」が同じ世田谷パブリックシアターで上演された。
妙なマジックのようなことを考える人がいるんだなと思った。
引田天功のようなマジシャンとロベールは似ていると思っていたら、
ラスベガスで評判の、シルク・ド・ソレイユの「カー」の演出もしているらしい。納得。
役者の白井晃がこの舞台の一人芝居に挑戦した。
翻訳された日本語上演なのでわかりやすい。
ホリゾント型になった立体的なスクリーンを使って
3次元と2次元をうまく融合させている。
そのことが不思議な感覚を生む。
ルパージュは映像が2次元で投影されるのを良く理解しており、
これをいかに3次元のシンプルなセットに組み合わせて
見せていくのかということを考えている。
随所に、その工夫が見られ、美しく想像力を刺激させる
舞台構成になっているのだ。
目の青い西欧人のディレクションは大体に於いて照明が暗い。
もちろんセンス良く雰囲気はいいのだが、目の黒い我々には、
あと少しだけ光量が欲しい!そうでないとウツラウツラしてしまうことになる。
見ている僕の集中力にも問題があるのかも知れないが、
どうかもう少しだけ光を!
アンデルセンについては、童話作家だったという認識しかない。
彼の人生を、ルパージュは読み解いていく。
そして、通常の童話作家だったアンデルセンのイメージを解体し、
新しい現実的なアンデルセン像を作っていく。
というか有名な「人魚姫」だって悲しい話である。
結ばれない人魚と男の恋物語。
ハッピーエンドであろう筈もなく、ディズニーのあまりにもディズニー的な
マーケティング戦略に僕たちはまんまと載せられて疑うことさえしらなくなる。
そのことについての強烈なアンチテーゼだと受け取る。
カナダ人であるルパージュの志を感ずる。
アメリカでもないフランスでもイギリスでもない、
周縁に属するということにおいて、
ルパージュを生んだカナダとアンデルセンを生んだデンマークは
近似しているのかもしれない。
