何十年も付き合っていた飲み友達が糖尿病になって
お酒がまったく飲めなくなったら、この二人の友人関係はどうなるのだろうか?
私も55歳になってあちこちが痛いとか見えないとか数値が高いなどと言われている。
毎月医者に行って薬をもらい毎朝飲む。そんな生活。
大人の麦茶の主要メンバーも30年近く一緒にやってきた仲間たち。
その仲間たちが幼馴染というテーマで演じる舞台だった。
千葉の勝浦の漁港の街。波の音が聞こえる少し高台にある廃校となった小学校。
現在は体験型授業などが行える宿泊施設になっている。
子供だけでなく大人も泊まれる施設。そこに数十年ぶりにやってきた同級生たち。
糖尿病で飲酒を禁止されてすっかり不眠症になった池田稔と
その友人で居酒屋チェーンを経営している並木秀介の二人を中心に物語は進行する。
そこに様々な人々の過去がそして現在がセリフを通して描き出される。
ストレートプレイのようでもあるのだが、
大人の麦茶らしい「少女マンガ」的な世界観はいつもどおり。
こころがじんわりと温かくなりいやされる。
最近、むちゃ忙しくて心が乾いていたところに清浄な水が浸入してきて
やわらかい気持ちに満たされた気持ちになった。
初日観劇ということもあり、特に女優陣の演技が硬く、
最初の30分くらいはしっくりいかないところもあり気になっていたのだが、
後半になるにしたがってそんなことがまったく気にならなくなる
物語の展開にもっていった作・演出の塩田泰造の腕力に脱帽する。
今回、個人的に受けたのが、淡々と平気な顔をして
グロテスクなこととか酷いことを言うこと。
その淡々さと言っている内容のギャップの大きさがかなり笑えた。
俳優の間の取り方などが工夫されていけば
さらに面白くなるんだろうな!と思いながら見ていた。
また、俳優それぞれの見せ場をちゃんと作っているので、
それぞれの俳優たちに感情移入されていく。
みんななんらかの事情を抱えそこで生きている。
彼らはその中で懸命に生きており、塩田さんはその彼らを大きな母性で包み込む。
(ちなみに塩田さんは男性ですが…。)
「ぎゅっ」と抱きしめられるような感覚とでも言うのだろうか?
見返りのない愛情がそこにあるのではないか?
塩田さんにお子さんがいれば、こんな愛情を持って子育てしていたのでは?
そんなことを想いながら見た。
そして人生は続く。
この舞台、まさにこの言葉がふさわしい。
ハロプロの石井杏奈(演劇女子部)が女子高生役で登場している。
ハロプロの若手女優たちと舞台の仕事を何度もやっている
塩田さんは彼女のキャラをうまく生かした。
特にサイボーグAIロボットの「ソルティ」の演技が印象的。
ああ、こうした使い方があるな!と。上演時間、約2時間。
4月23日まで。今日、20日も15時、19時半と2回公演だそうです!