奈良美智のブログを読んでいて、彼が宮崎あおいのファンだったことを知る。
彼はこの映画の試写会を見に行きたかったのだが、
弘前での個展の準備に忙しくて、
残念ながら行けなかったというようなことが書いてあった。
そうか、そうなのか!奈良美智も宮崎あおいの!
僕が、奈良美智の描くドローイングや絵画、オブジェが好きなのも
何か通じるものがあるのだろうかと考えさせられる一文だった。
そして、僕はついに見に行った。
「
初恋」。中原みずずの原作を読んで、宮崎あおいは是非、
この女子高校生を演じたいと思ったらしい。
10代最後の仕事に彼女はこの映画を選んだのか?
僕は10代最後にいったい何を決意したというのだろう。
受験勉強から逃避し、現状を否定しながら生きていた。
少なくとも大学に入学するまではそう思っていた。
自ら進んで行なうことの楽しさを知ったのは20歳を過ぎた頃だった。
そういう意味では、宮崎あおいは大人である。
彼女は子役からだから芸能歴が長いのだが、
ここにいて演じるということが選ばれた人だけの道であると気づいたと
何かのインタビューに答えていた。
それから演技を真剣に考え、選ばれたものだけが出来ることを
させていただくことに感謝しつつ仕事をするようになったらしい。
それ以降の彼女の活躍は眼を瞠るものがある。
府中刑務所前で起きた3億円事件の話。
なので時代は1960年代後半。そのころの安保闘争に明け暮れている若者。
貧乏だった時代の暮らし。
画面には60年代後半から70年代前半のころの風景が再現されている。
「愛国党」のチラシが高架下の壁に貼ってあるのだが、
そのデザインは今も変わらない。
この映画は犯罪映画ではなく、恋愛映画であるといろんなところで見聞きしていた。
ほんとうにそうだったのか?
これはもっともっとクールな犯罪映画にしたほうが、
恋愛映画としての側面がさらに強く再現できたのではないかと思った。
そこの部分が残念で仕方がない。
宮崎あおいと小出恵介が3億円強奪のシュミレーションする部分を
丁寧に描くことによって二人のココロの交流が
さらに深く描けるようになったのかも知れないと思った。
プラトニックなココロの交流が、強奪に成功した後、
宮崎あおいの頭を「よしよし」となでることで完結する。
3億円が一度も使われていないエピソードが映画の最後のほうで描かれ、
小出は失踪するのだが、そこは本当に必要だったのだろうか?
謎は謎のままで、解釈を観客に委ねることは出来なかったのだろうか?
惜しい!
この映画は雨のシーンが効果的に使われている。
雨のもつしっとりとした情感と雨の中に喪失感が飲みこまれていく感覚は
確実に伝わってきた。そして、雨の音を久しぶりにじっくりと聞いた。

