「14歳の国」遊園地再生事業団×早稲田どらま館
作・演出:宮沢章夫。
かくなる私は、宮沢章夫のファンである。
劇作家・演出家よりもエッセイストや日本の戦後サブカル文化を語る
批評家として、そしてラジカル・ガジベリンバ・システムという
80年代のサブカル時代に大いなる爪痕を残した
コント・パフォーマンス集団の座付き作家として。
ラジオ番組もやっておられるので話すことが話し方も含めてとても面白い。
観劇した日はアフタートークがあった。
宮沢さんと地点に描き下ろし戯曲の「山山」を発表した
京都在住の劇作家の松原俊太郎さん!
早々にこの日はチケットが完売したらしい。
早稲田に早めについたのでマクドナルドで
アイスコーヒー飲みながら
「世界で最もイノベーティブな組織の作り方」山口周著(@集英社新書)を読んでいたら
Kさんとバッタリ!Kさんは広告会社に勤めておられ以前、仕事をしたこともある。
が、一番、遭遇率が高いのが毎年秋に行われているフェスティバルトーキョー!
その上演時に劇場でばったり!というのが何度も続いて、
演劇やパフォーミングアーツの話をするようになった。
本公演は20年ぶりの再演だという。
21年前の1997年に神戸で酒鬼薔薇聖斗事件が起きた。
その余韻が生々しい時期での初演公演だったので上演は人気となり
私はスケジュールの関係もあり行くことが出来なかった。
悔しいので「14歳の国」(@白水社)の戯曲を買って読んでいた。
俳優5人だけの舞台。数十人入ると一杯になる劇場の真ん中に学校の机と椅子が20台?ばかり並べられている。
14歳と言えば中学3年生あるいは2年生。
この時期に特徴的なのは、思春期を迎え身体が大人になっていく人と、
まだまだ子供のままの人が同じ教室に居るということ。
自分も当時ココロと身体のバランスが取れず、乗り物酔いをしやすくなり、
受験直前には赤面症みたいになり意見を求められると
顔が真っ赤になってきちんとした発言が出来なかった時があった。
高校に入ってそんな症状は跡形もなくなってしまったのだが、
そんな経験を持っていらっしゃる方もいるのでは?
そんな微妙な年齢の生徒たちがいる教室。
体育の授業で生徒全員がいなくなった教室に
教師たちがやってきて生徒の持ち物検査をする。
まだスマホや携帯電話さえなかった時代。
生徒たちの持ち物を詳細にチェックして何か変わったことがないか?を調査する先生たち。
先生でこの行為に罪悪感を持っている方も居て
会話の中でそうしたことが見えてくる。
見ていて思ったのは、ここでの美術教師と音楽教師の描かれ方。
芸術を愛する人たちがこうした行為に関して懐疑的に描かれる。
演劇と言う芸術を行っている宮沢さんの無意識の意識なのか?
芸術というものがそもそもそうしたリベラルで自由なものを追い求めるものだからなのか?
教室での先生同士の会話は、独特な「間」から生まれる
おかしみが奇妙な空気を作り出し、そこから笑いが生まれるというまさに宮沢章夫的なもの。
この章夫的なるものを最大に感じられるのは彼の書いたエッセイではないだろうか?
「彼岸からの言葉」「牛への道」おすすめです。
上演時間約90分。10月1日まで。