燐光群のベテラン俳優、中山マリと鴨川てんしの一人語りの舞台。
中山マリは自らの母親であり「中間小説」の作家だった
中山あい子のいた世界を自らの言葉で語る。
中山あい子に関しては、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B1%B1%E3%81%82%E3%81%84%E5%AD%90
お父さんが戦争で亡くなって母一人娘一人の生活だったらしい。
娘のマリはその頃の記憶などを基に本作を創作したのだろうか?
セミ・ドキュメンタリー演劇のよう。
熱い昭和の時代にキャリア女性として文化人として作家として先端を走っていただろう
母親を客観的に語る。
中山マリ自身は、文学座の養成所を出て役者一筋!
その彼女が本当に自分の話し言葉で世間話をするように私たちに語り掛ける。
その語り方がいい!
安保や反体制など学生運動のムーブメントがあったあの時代!
途中、あい子さんと交遊のあった人たちが登場する。
4人の若手の燐光群の俳優たちが登場する。登場の仕方が面白い!
上演時間約60分弱。
そして、鴨川てんしの森の石松。
これを見て、実は森の石松をちゃんと扱った映画などを一度も見ていないな!ということに気づいた。
静岡おでんの屋台を引っ張って、その店主として鴨川石松は登場する。
駿河に森村という村があったらしい。その村出身のやくざ者。
岩を砕いてその間から出て来る松のように強い男ということで
森の石松となったというエピソードが劇中で取り上げられていた。
森の石松について多くのリサーチを
坂手洋二と鴨川さんはしたのだろう!
その記憶を基にこの舞台は口立てで戯曲のセリフが紡がれたと書かれていて驚いた。
以前、つかこうへいが舞台をやるときにものすごく早口で口立てでセリフを語る。
それを必死にアシスタントがセリフに書き起こすということをやっていた、という話を思い出した。
鴨川が石松を初め、清水の次郎長親分など何人かの役を一人で演じる場面が面白かった。
落語で噺家が何人かの登場人物を演じるのとはまた違う難しさがある。
3人以上になると、その立ち位置なども含めて、やり方が難しいことを実感した。
私の好きなスタンダップコメディアンたち
松元ヒロと清水宏!
彼らの一人語りと比較しながら、見た。
一人語りは奥深く、しかも難しいものだ!ということもよーくわかりました。
石松は上演時間60分弱!本作は26日で終了した。
同時上演の「九月、東京の路上で」は31日まで。