転形劇場を主宰されていた太田省吾の
演劇史に残る作品と言われていたものが、
太田省吾の教え子にあたる杉原邦生(演出・美術)の手で上演された。
当日は寒い中、森下スタジオの前で予約順に並んだ。
この日はチケットを取っていただいたTさんと、
さらに1980年代の転形劇場の伝説の「水の駅」の公演を
ご覧になっているMさんと一緒だった。
番号順にスタジオの中に入るのだが(ここは暖かい)、
ここでもすぐに中には入れない。
廊下のスペースに並ぶ。
入場したらすぐに上演が始まります。上演時間は1時間50分です。
というアナウンスがあり、並んでいる人の何人かは
そのタイミングでトイレに向かった。
劇場内に入ると杉原さんの手になる美術が目の前に拡がる。
大きく手前に傾斜した舞台。
上手奥から下手の手前に向かって大きな矢印が描かれている。
この矢印に沿って俳優たちは一方通行のように出て来ては去っていく。
まるで人生のように後戻りはできない一方通行。
時間と同様に不可逆な世界がそこにある。
下手奥にはたくさんのごみが置かれゴミの山が出来ている。
真四角な舞台は能舞台の大きさと同じくらいだろうか?
太田省吾の舞台は良く能楽と対比されて語られることが多い!
Mさんに聞くと、今回の上演は、転形劇場で上演されたものをベースとして
大きな変更なく再現されているのではないか?とおっしゃっていた。
音楽が印象的に流れる。
エリックサティのジムノペディ!これはいくつかのアレンジされた楽曲が流れる。
リズムビートが効いたジムノペディを聴いて鳥肌が立つ。
そして、Mさんに聞いたのだが劇中と劇の終盤に流れるバロックの音楽!
とても美しいメロディの曲。アルビノーニのオーボエ協奏曲(第二楽章)らしい。
https://www.youtube.com/watch?v=DUD4VWVrS4U
誰もいない舞台にロリータのような少女が現れる。
舞台の真ん中には蛇口があり、そこから水が延々と流れ続けている。
生きものの命の糧でもある水が中心にあり、そこに人々がやってくる。
まるでサバンナの池や砂漠のオアシスに動物たちが集まってくるように。
地球は水の惑星と言われ、それが多様な生物を創生した。
太田省吾はそんなことをイメージしていたのだろうか?
聖なる少女の登場から始まって、
男性二人組、日傘をさした狂女、僧侶、ごみ拾いの男、
水子を供養するカップル、そして心中しようかとするカップル、
真っ白な洗濯物を掲げる三人組の女性、足を洗う女、
山登りに来た男女などなど!市井の人々が登場し、
彼らの人生の一瞬が水飲み場を中心に描かれる。
太田省吾の舞台なのでもちろんセリフはない!
無言の動きを観客はじーっと見つめ様々なことを想像する。
俳優たちのまるでハイスピードで撮影されたかのような
ゆっくりとした動きが音楽との相乗効果で美しい!
俳優の身体には過剰な負荷がかかり、その身体の様子が
この舞台の大きな成否を分けることになる。
見終わって、キャスティングがまさに
それぞれが演じる役のキャラクターに合っていると思った。
オーディションで選ばれたのだろうか?
とても、時間をかけて丁寧に作られていることがわかる。
杉原邦生は京都造形芸術大学の映像・舞台芸術学科の二期生である。
太田省吾はこの大学で舞台芸術を教えながら創作をした!
京都は白川の校舎にある「春秋座」はまさにその時に出来た劇場!
太田省吾の最後の演出作「聞こえる、あなた?-fuga#3」の演出助手を
杉原邦生が勤めたらしい!
恩師への想いが詰まった上演。
冒頭に登場した少女が、エンディングでまた登場する。
輪廻転生が描かれる。
世界の理(ことわり)でもある「無」から「無」への世界を構築したことが心に沁みた。
アングラ演劇のジャンルに分類される太田省吾の舞台!
昭和を感じる箇所がたくさんあった。
エロスとか生きるチカラみたいなものが昭和の中に見え隠れする。
それを杉原は現在に接続する。決してノスタルジーではない!
まさに元号が変わって平成から、また、新たな時代が来るそのタイミングで
本作が上演されたことの不思議な運命を感じる。
太田省吾について少し調べてみたくなった。
振付:田村與一郎上演時間1時間50分。3月31日まで。




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