さいたま芸術劇場とマームとジプシーの共同企画!この日は真夏日で与野本町から
劇場までの道のりがまるで夏休みのようだった。まだ5月というのに…。
温暖化が進むこの惑星のことを本当に真剣に考え実行しなければいけない!
SDGをお題目ではなく実行レベルの問題としてある種の制度設計が必要になって来ている。
そんなヒートアイランド化が進むTOKYOが舞台。
見終わって、本作は演劇というジャンルを超えて現代アートの世界に突き進んでいるのではないだろうか?と感じた。
劇場ロビーで現代アートの好きなサノ☆ユタカ監督と久しぶりにお会いする。
映画「ROMA」の舞台になったメキシコシティの家に行った話を伺った。
行動力のあるサノさんは軽々とどんなところにも足を運ぶ。
近未来の東京なのか?
実は「AKIRA」で大友克洋が描いたネオTOKYOは実は2019年の話。
暴力がはびこり都市の秩序が崩壊し始めている世界。
高架下に放置された柳楽優弥とその妹の青柳いずみ。
彼らは自分たちだけで生き延びて生活している。
モノトーンで構成された舞台。白と黒とグレイの世界。
森永邦彦(アンリアレイジ)の衣装も生成りと黒をベースにしている。
衣装を見るだけでも楽しい、森永さんの作る光などによって見え方が変わることに驚くだろう。
http://www.anrealage.com/news/detail/100004/1647
ある種のアンリアレイジのファッションショーみたいでもある。
演劇の枠に収まらないで
ありとあらゆる才能と組んで新たな世界を構築しようと模索する藤田貴大。
それを次々と実現させていく制作部の手腕にも頭が下がる。
藤田の才能を信じてやってみよう!という勇気がまずあるのだろう!
その姿を見ていると、同じように何かを作り出している私などはレベル低すぎ!
襟を正してちゃんとやらなきゃな!と教えていただいているような気持になる。
毎回、新たな表現方法に挑む。そして毎回進化している姿。
物語を追っていく演劇的な表現形式とは一線を画したかもしれないが
それが「マームとジプシー」流なのではないか!?
大きなステージに何枚もの横に長いパネルが配置され、それが常に動き続けて配置が変わっていく。
常に動き続けている空間構成のアートパフォーマンスを私たちは目の当たりにする。
新たな素材が発見されたのか?
軽くて丈夫なパネルが出来その動きがスムースで音もなく静かに動くのを見ていると気持ちがいい!
そこに「the mirror」「the window」「 the door」などのタイトルが照射され
その前後で俳優たちが演じる。
詩的な藤田のフレーズが俳優から発せられそのシーンが何度も登場し繰り返される。
そうした「マームとジプシー」の基本はあるのだが、
今までの、ガーリーな世界とは真逆のバイオレンスな世界が描き出される!
園子温監督の「TOKYO TRIBE」(2014年)という映画を思い出す。
素敵な選曲された音楽と衣装と変容し続ける舞台美術と照明とサウンドデザインなどが
混然一体となった世界を私たちは全身に浴びるように経験する。
この経験が何だったのだろう!と思いながら
後で反芻するようにシーンを思い出す!本作にはそんな魅力がある。
本作のプロダクションにはどれだけの工数があり
それを上演時間1時間45分の間やり続けなければならない!
途方もない実験に俳優たちやスタッフが藤田を信じてやりきったのだろう!
次回は、その挑戦に俳優の身体がもっと身近に感じられるといいな。
25日まで。その後、兵庫公演、とよはし公演がある!