作・演出:蓬莱竜太。ここ数年の蓬莱さんはまったくたいしたものです!
見るたびにヒリヒリとした読後感を残してくれ、
それが人間の深奥にまでガツーンと届いてくる。
15時の公演のチケットを取ったつもりで劇場に行ったら
まさかの予約時間の間違い!19時からの公演を予約されています!…。
その時、開演の数分前だった。
急遽当日券を買い求めて、階段の上に座布団を敷いて座る席を確保。
前から4番目の階段座布団シート!
前半1時間5分、休憩10分挟んで、後半1時間の公演。
敢えて休憩を入れている理由が見るとわかる。
セットはシンプル、舞台の上の方に左右いっぱいに拡がる黒いスクリーンが効果的に使われている。
小道具もミニマルなものでシンプルで美しい。
無機的な空間に俳優がいることによって超有機的になるという対比がいい!
兄貴と弟夫婦が東京の実家に一緒に住んでいたのだが
火事が起きてその家に住めなくなったようである。
兄貴(津村知与支)は40代のひきこもりで、弟夫婦が面倒を見ていたのだが、
さすがに家がなくなり
弟夫婦もこれから子供を作らないと、というような時期で、
そこに引きこもりの兄が一緒に住んでいるのはどうも、
ということで弟の引き合わせで千葉県の銚子にある親戚の家の
「離れ」に住まわせてもらうこととなった。
その家は昔からの地元の和菓子店だったのだが、
商品に異物混入などの事故などもあり、業態を変えて、
新たにカフェとして運営されることになった。
主人(菅原大吉)はほぼ店を高倉健太(西條義将)こと健さんに任せている。
従業員は地元の女性(成田亜佑美)と
東京で売れない俳優をやっていた男(小椋毅)が地元に戻ってアルバイトをしている。
この店はもともと主人の妻(吉岡あきこ)の祖父がやっていた和菓子屋を継いだもの。
この夫婦には働き始めた一人娘(生越千晴)がいる。
主人は引きこもりの男「夏彦」に
居候しているんなら何か手伝えと言って掃除や買い物などをさせようとする。
小さな部屋でミニマルな生活をする「夏彦」。
ゲームと「ヱバンゲリヲン」などのDVDや漫画雑誌などが置かれているだけの部屋。
彼とここのカフェの人たちとの交流が始まる。
「引きこもる」というのは決して他人事ではないのでは?
ちょっとしたきっかけで人はある種の引きこもり状態になる。
自分も、そうなる可能性はあるのではないか?といつも思う。
様々な人たちと接していると、
過去に引きこもっていた人たちが意外と多いということがわかる。
いろんな原因があるんだろうが、引きこもり上等じゃないか?と今は思っている。
引きこもることによって多くのことが防げたなら、それでいいのでは?
要は、最終的にどのように世界を受け容れていくことなのでは?
その感覚が本題の「ビューティフルワールド」にも表れている。
また、人は人を受け容れて行くときに、短所をいかに愛せるかというのが
とても大切なことなのでは?という視点を教えてくれる。
いいところは相対的な価値だったり時代や年齢で変化するかもしれないが
短所(欠点)を受け容れられる行為には普遍性があるのかもしれない!
蓬莱さんは相変わらず、ヒリヒリとした関係を描くのだが
過去のモダンスイマーズと大きく違うのはそれも含めて受け止め
笑ってしまっていいんじゃない!?という視点がある。
蓬莱さんの円熟か?加齢か(w)?
年を取ることによる良さは確実にある。
だからこそ引きこもっちゃってもいいから長く生きろ!ですよね!
上演時間休憩入れて2時間15分。
当日券は開演の1時間前から発売だそうです!23日まで。