ヨーロッパ企画を一言でいうと偉大なる放送作家集団のような劇団!
と言えるのではないだろうか?
お笑いコントや漫才などのネタ、そしてバラエティ番組の企画などに応用できそうな
アイデアがいつもあふれている。
今回は夏らしく「学校の怪談」話に想を得たもの。
どんなものかと言われたら見てもらうしかその感覚は伝わらない!
と言い切れる確信がある。
全部で77の不思議な怪現象が起きる。
その怪現象は荒唐無稽であればあるほど面白く笑いが取れる。
予想外の展開や予想もつかないような感じの妖怪の出現に笑いが起きる。
基本、ヨーロッパ企画の固定ファンの方が多いのだろう。
そこに今回客演された俳優さんたちのファンだろうか?
がぎっしりと席を埋めているのでリアクションの良さが半端ない!
ファンとはこういう人たちのことを言うのだろう!
それは宝塚歌劇団や劇団新感線、さらには歌舞伎ファンなどが持っている
ある種の共同体的な感覚とでもいうのだろうか?
しかし作・演出の上田誠はそこには安住せずにさらなる高みを目指そうとしている。
その高みを目指そうとし続けている姿がある限り
ヨーロッパ企画はこの人気を保っていけるのでは?
「お笑い」にこだわる劇団の特徴として
TV番組のチームとうまく行きやすいというところがある。
証拠に劇場ロビーに置かれたお祝いのお花の多くが放送局関係のものだった。
政治や宗教ネタさらには社会のさらなる暗部を描くようなものは、
逆にTV番組は取り上げにくいのだろう!
上田誠は「笑い」と「SF」に特化して世界を作っていく。
前回の「サマータイムマシーン・ワンス・ア・タイム」と比べると
物語の構造が簡単すぎて「妖怪」や「怪談」をネタにした小ネタ集か?
と思わせておいてのエンディングへ向けて
物語構造を大きく上田ワールドであるSF的なものに変化させていったのを拝見し感心した!
脚本を描くチカラがあるので読後感が「ああ面白かった。」となるのである。
つまらない小ネタはたくさんあったのだが
逆にそうした物語のうねりの中に収束されていって、気にならなくなり、
逆にそれが独特なスパイスのようになっていて効いてくる。
そんな不思議な演劇体験ができる
他にはない演劇構造を持った舞台と言えるのかもしれない!
前半65分、休憩10分入れて、後半75分の上演時間約2時間30分。