『ブックカバーチャレンジ』54(bookcover challenge vol.54)
54冊目は谷崎潤一郎の「陰影礼賛」(@中公文庫)
いわずと知れた谷崎潤一郎が日本の暮らしの中の美について描いた古典的名作。
これを最初に読んだのが30歳前後だったか?
子どもの頃、鳥取県の母の実家があった東伯郡東郷町川上という田舎にいくと
茅葺の囲炉裏があり土間がありそこにかまどがあるという典型的な古民家だった。
そこに夏休みなどに母親に連れられて泊まりにいくと、とにかく暗い場所が多い。
木組みの梁の上は薄暗く、昼間も雨戸をあけて縁側の障子を開け放して
ようやく縁側から外光が入り込み、うっすらと仏壇の間などを照らし出す。
裸電球が吊るされてはいたのだが夜にならないと電気は点けない。
薄暗い田舎の夏は、日陰がとても涼しかったことを覚えている。
エアコンなどがまったくなかった時代、高温多湿の日本では
風を通し日陰などを駆使して涼しく過ごすという生活が行われていた。
コロナ禍で換気の必要性が言われこうした暮らしが見直されている。
家というものは、どこかに薄暗いところがあり、
そこはなんだかわからないけどちょっと怖い、
そんなことを子ども心に感じていた。
「となりのトトロ」にも出て来る「まっくろくろすけ」は
そんなところにいるのだろう!
しかしながら、そんなちょっと怖い感じの古民家も雨が降ると
ものすごく快適な場所に変わる。
雨の音を聴きながら
室内は雨がなく外はうすら寒いのに部屋の中は安心、
そこで何か本やマンガなどがあれば雨の音と雨のにおいを聴きながら
夏のうっすらと暗くなった午後を何だか幸せな感じで過ごすことができた。
こうした記憶がいつまでも自分の中に残っている。
数十年前にその古民家は新しい近代建築(?)に建て替えられ、
薪を使って料理をすることもなくなり、
もちろん当時あった五右衛門風呂もなくなった。
さらには家の裏手で野菜などを洗ったり米を研いだり洗濯をしたり
していた生活用水の小川すらなくなってしまった。
川の水量が徐々に少なくなり以前のような水量には戻らなくなった。
時々洪水のような雨が降り、穏やかな気候だったこの国が
気候変動によってどんどん荒々しいものに変化していった。
それがこの50年の変化である。
谷崎潤一郎が暮らしたのはそのはるか以前。
関西にも住んでおられたことがあり、「細雪」や「春琴抄」など
関西を舞台にした物語がいくつも書かれている。
谷崎は耽美派の作家と言われている。まさに意を得たネーミング。
本書ではその谷崎潤一郎が日本家屋の持つ幽玄とでもいうのか?
障子越しの光や縁側から入り込む光、
そしてそれが当たらない影の部分含めて、なんて素晴らしいのでしょうか?
と言うことを語り続けている。
白洲次郎が晩年、白洲正子と住んだ町田は鶴川にある「武相荘」を
先日テレビで見たのだが一度そこに行って一日中過ごしてみたいと思った。
さらには、京都は桂にある桂離宮にも予約して拝見したいとも。
陰影礼賛で描かれたような建物をたくさん巡ってみたい!
それは各地に今も残されているのでは?
また、近代や現代の建築でも「陰影礼賛」の考え方を体現した建築があるのでは?
明と暗という二元論にはならない、その間の光と影の
グラデーションが無数にあるというのがいかにも日本らしく、
その良さを私たちは知っており、そうした風土だからこそ、
おだやかで、いい意味であいまいな文化があるのかも知れません。
谷崎潤一郎原作の映画や演劇作品の名作が本当にたくさんある。
それくらい創作者へ刺激を与えた人でもある。
谷崎ワールドの奥は深い。
読書文化普及のため
◎毎日一冊の本の表紙をUP
#BookCoverChallenge

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