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原作・上演台本:ミヒャエル・エンデ、翻訳:高橋文子、演出:小山ゆうな。 ミヒャエル・エンデの名前を知らない人はいないのでは? 「モモ」「果てしない物語」などの児童文学を手掛けたドイツ人作家。 「ネバーエンディングストーリー」の映画の原作と言えば「ああ、そうか!」と 思う方もいらっしゃるのでは? ドイツはこのコロナ禍でメルケル首相が国民に対して真摯に発言を繰り返していた。 その「品性」が評価されている。 民主主義の基本を踏まえながらも、いまは普通ではない状態なので どうかみなさん協力してください、と訴える姿。 彼女は東ドイツ出身でベルリンの壁があった時代を知っているだけに 民主主義を守ることの大切さが肌身に沁みているのだろう。 そして、2011年の東日本大震災後の福島第一原子力発電所の 全電源喪失によるメルトダウンから放射能の流出を受けて、 ドイツではいち早く国家のエネルギー対策を再生可能エネルギーに シフトすると決めた国でもある。 メルケル首相は科学者でもありコロナ禍でもファクトベースで数字を 提示しながら国民に訴えかけていく。 こうしたすべての行動に一貫性があり、そのことが今回のドイツの対応の 評価にもつながっていったのだろう。 そのドイツ出身のエンデの1989年に書かれた児童文学をエンデが自ら戯曲化したものらしい。 ドイツなどでも上演されていると書かれていた。 演出を手掛けるのはドイツでも演劇を学ばれた小山ゆうな先生。 先生とお呼びするのは私が勤務している「東北新社・映像テクノアカデミア」で 声優科の講師をされているから。 小山さんは今回が初めての新国立劇場での演出になる。 小川絵梨子芸術監督がこれまでの「チック」などの演出作品を評価して依頼したのだろう! コロナ禍で稽古しながらも上演なるか!とやきもきされていたのではないだろうか? そうして新国立劇場は7月9日新たな状況下で上演を始めた。 現地に行ってその徹底的な「密」を避け「感染防止」に配慮するやり方に 頭が下がる思いだった。新国立劇場のスタッフの劇場でライブ上演するぞ! という思いが伝わってきて泣けてくる。 ディズニーランドのように観客の導線が作られている。 まずは手指消毒、そして自動検温器を通過しその後、特定の記録用紙に記入する。 どの席に座って連絡先などを書いて提出する。 感染などが発覚した場合その履歴が追えるための工夫だな!ということがわかる。 なので劇場に入るまでに数分かかるのでお早めに! とはいえ、劇場に入ると隣の席は空けてあり交互に座る状態になっている。 半数の客席だけで公演する。 公演することによって採算を取るというよりも 公演することによってみんなの気持ちに勇気を与え 舞台関係者や俳優たち、そして劇場スタッフの雇用を守り 維持していくという持続可能性を強く意識されていることがひしひしと伝わってくる。 ワクチンが開発され平常の状態に戻るまでは、 とにかく貯金(内部留保金?)を引き出しながら補助金を申請しながらでも 現状を持続し続けるということが劇場にも企業にも個人にも求められていく。 隣の席にはイラスト付きのお化けみたいなシートが貼られていて 鞄をここに置いてもいいよ!みたいなことが書かれていた。 舞台はある大晦日の夜の話。 劇場中央に大きな時計のオブジェが作られている。 まるで時計台のてっぺんにあるような大きな針式の時計! 北村有起哉が科学者役で登場する。 俳優たちも口許にフェイスシールドを付けて演技をしている。 最初、その姿に戸惑ったがすぐに慣れる。 そこにやってくる猫(松尾諭)とカラス(森下能幸)。 彼らは弱い者の象徴として、自然のあるがままに生きる者たちとして描かれる。 人間たちが自らの恣意なるままに人口を増やし エネルギーを使い続けたつけが出始めている。 エンデは日本がバブル真っ盛りだった1989年にこれを書き、 行き過ぎた資本主義社会の大量生産・大量消費に警鐘を鳴らす。 今で言うところの「SDGs」が30年前に すでに、こうした芸術作品に書かれている。 そういう意味では芸術行為というのは炭鉱のカナリアのような役割を持っている。 小山さんは、底辺に流れるその問題意識を ポップでおかしなシチュエーションに変換して 子どもたちでも楽しめるおとぎ話に仕立てている。 エンデの戯曲自体がそうであるということもあるが、 それを楽しくポップに描くのはほんとうに小山さんらしい演出の姿。 劇中で「普通じゃない時には敵同士である猫とカラスも仲良くし一致団結しないといけない!」 などのセリフが登場し、これって、今のコロナ禍で起きている ポピュリズムのさらなる先鋭化に警鐘を鳴らしているのではないだろうか? などと観客は考えてしまう。 北村有起哉演じる博士のもとにやってくるお金の魔女(あめくみちこ)。 大晦日にあるカクテルを作って飲みながら願い事を唱えるとその願い事が叶うらしい。 そのレシピの半分を博士が持っていて半分をお金の魔女が持っている。 そのためにはお金の魔女はお金をいくらでも払う! これってお金の魔女=資本主義社会、そして博士=科学技術と置き換えられる! その二人が魔法のカクテルを一緒に作ってそれを飲む! どんな願い事をかなえたのかは見てのお楽しみ。 しかしながらこの願い事はミヒャエル・エンデの芸術家としての 願いだったのではないだろうか? 1989年の時期にこんなことを考えられる人がいたなんてドイツほんと半端ない! 4か月ぶりに見たリアルな形式の演劇。 休憩後の後半は客席と舞台が一体になって盛り上がる。 演劇ファンの熱い気持ちと俳優や制作スタッフの劇場でやるぞー!の 強い思いがつながることが感じられ またまた泣けてきた。その証拠の3回ものカーテンコール! 劇場にライブの舞台が戻ってきたことをみんなで祝う! そんな拍手が舞台中に拡がっていった。 休憩20分入れて上演時間2時間25分。 7月26日まで。子ども料金が安くなっている。 ぜひマスクを着けてお子さんとご一緒に!
by haruharuyama
| 2020-07-10 08:50
| 舞台
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