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「外の道」イキウメ(@シアタートラム) 作・演出:前川知大。ある地方都市のお話。 イキウメが良く描く金輪町の隣町という設定? そこに偶然、出身地が同じ高校の同級生が居ることがわかり二人は成人式以来、 初めて会うこととなる。 10年以上前にこの町に越して来た池谷のぶえと数年前に越して来た安井順平。 池谷は離婚後この町に来て弟(浜田信也)と母親(清水緑)と一緒に暮らしている。 母親は年老いているのに見た目は女子高生。認知症を患っているのか? この設定を見ると高野文子の漫画「田辺のつる」というのを思い出す。 その漫画では老婆は幼い3歳くらいの女の子という設定で描かれていた。 安井順平は美しい妻(豊田エリ―)と暮らしており、宅配便の配達をしている。 長く同じ宅配会社に勤めており27年目。異動の希望を出してこの町に来られることになったらしい。 池谷はここで行政書士の補助業務をしている。 町では時々「海鳴り」ではなく「空鳴り」の現象が起き、 空間がきしむような音がする。 その音がするたびに町の人たちは空を見上げる。 舞台はシンプルな空間。上手奥に少し歪んだ扉がある。 舞台が始まるとそこから登場人物全員が登場する。 カフェなのか?椅子が等間隔に並べられており真ん中にはテーブルが置かれている。 俳優たちは一度舞台に登場すると退場はない。 いったんこの町に来たら逃れられないように? 安井順平は東京に住むだろう弟に誘われて、 この町はずれにあってひっそりと営業している テーブルマジックを行う喫茶店「ミルトン」に行こうと誘われる。 この店は予約が取れず毎日県外のお客様でいっぱい。 その喫茶店に行った兄の安井はそのテーブルマジックを見て 彼がもともと持っていた潜在意識が覚醒するのか? 世界の見え方がまったく新たなものに変化していく。 そして池谷のぶえはまた「無」と書かれた荷物を受け取り 彼女の中に変化が起きていた。 そうした体験を抱えた二人が二十数年ぶりに再会し、 誰にも言えなかった不思議な経験を話し出す。 奇妙な町の伝説や伝承噺、あるいは神話にも似た一般の感覚では 語れないような不思議な物語が紡がれる。 前川知大が延々と描き続けている何か得体の知れない良くわからないこと。 これは実はいまはたまたまわかっていなくて私たちが住んでいるこの場所に必ずあること、 起きる事として世界が描かれるのがイキウメらしい。 そして、本作ではその「なんだかわからない」ものを、より突き詰めて描いている。 映画監督のナイト・シャマランならこの物語をどうやって映像化するのか?興味を持った。 第六感的な言葉だけでは伝えきれない何か?が必ずある。 イルカは鳴き声で仲間と連絡を取るらしいのだが、鳴いた声に反応がない、 いわゆる既読スルー的な状況だと、また何秒後かに鳴き声を出すという話を思い出す。 そんなことを私たちは知らない。 池谷の家にある日突然、息子です、と言って大窪人衛が高校生だろうか?の姿で登場する。 彼の身分証明書はまさに池谷の家の住所が書かれており 彼は池谷のことを母親だと思っている。戸惑う池谷。 こんな不思議な不条理な世界がこの静かな町を舞台に描かれる。 風の音が常に聞こえてきて時々あの「空鳴り」が聞こえてくる。 本作で描かれていることは「禅」の思考している世界観なのではないか? それは「宇宙」をまるごと捉える世界観とも通底する。 無から始まって無に帰る。能楽でも描かれる深淵な世界。 138億年前に宇宙は無と思われるものから始まってやがて銀河や太陽系が出来、 地球が生まれ私たちホモサピエンスが生まれた。 そして宇宙も最後には「無」に帰ると言われている。 私たち自身も何もないところから受精が行われ、 無から細胞分裂が繰り返され奇跡的にこの世に生まれ、 そしていつかはまた「無」の世界に戻っていく。 それを私たちは「死」と呼ぶ。 「禅」の思想ではそれらのことを知った上で、それを忘れたかのように今現在にだけ向き合っている。 その「いま」を肯定することで「無」を知ることとなり、 「無」はやがて「空」にも通じていくのだろうか・・・・? こうした世の中にある言葉だけでは語れない何かを 前川知大はいろんな物語を想像し構築し描き出す。 この「物語」自体も何もない場所「無」から生まれてくる。 前川さんの想像力から生まれたものを 観客の想像力でまた新たなものを生み出していくのだろうか? そのことを前川さんは信じており 創作活動を続けておられるのではないだろうか? 私の想像であるので本当のことは何もわからない。 濃密で深淵な世界。上演時間1時間55分。6月20日まで。
by haruharuyama
| 2021-06-10 07:16
| 舞台
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