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「イモンドの勝負」ナイロン100℃ 47th session(@本多劇場) ナイロン100℃の3年ぶりの新作公演らしい。 コロナでたくさんのありとあらゆる種類のプロダクションが中止や延期になった。 その鬱屈を晴らすかのような、いい意味でばかばかしくくだらない作品。 最大の褒め言葉と受け取っていただきたい。 東日本大震災後の欝々とした日々で上演されたナイロン100℃の「奥様お尻をどうぞ!」 を髣髴とさせるテイスト。 ナンセンスの上にナンセンスを重ねて もはや小学生のギャグのようなものを見せられているような気持になる。 ということは、見ている観客たちも小学生の頃のくだらない遊びを延々とやっていた時の 気持ちになっていくともいえる。 勝負をしている途中で、急に いままでは「ノーカン」な!(ノーカウントと言う意味だが、大阪ではノーカンと言っていたのだが、関東はどうなんやろ?) というシーンがある。 いままでの負けはチャラにして、これから勝負の始まりだから!みたいなセリフ。 これって僕たちが小学生の時にいろんな遊びをしていて、誰かが突然、 今まではノーカンな!という「ええええ!」という感覚と言えばいいのだろうか? そのような感覚が全編に貫かれている。 ややこしい言い方をすると「ルールが突然変わる」ということ。 戦時中、突然「英語」が禁じられたり、 戦後すぐに、これからは民主主義の時代ですと突然国の方針が変わったり、 と同じなのではないか? 子どもの持つ面白さの裏にある現実的な狡さと残酷さが同時に本作では描かれる。 作・演出のKERAさんことケラリーノ・サンドロヴィッチのその作風は 何十年経っても揺るがない。 そして今回は、KERAの元々持っている、小学生の子どものような感覚を 熟練の言葉の巧みと、成熟し過ぎた俳優たちの技術と 熟練して進化した技術スタッフたちが総動員で最新のテクノロジーを駆使しながら再現していく。 私たちはそれを見せつけられ、プロの手業のもと、ばかばかしい子供の考えるような ストーリーと会話を見せつけてもらえる。 高度なコントや漫才にも似た俳優たちのかけあい。 多分、その「間」(ま)が1秒、いや半秒でも違っていたら 再現できないような空気をナイロン100℃にいつも出演している俳優たちは 瞬時に理解し演じているのかもしれない。 同じ劇団を長く続けていることのすごみを感じるような体験が出来る。 いろんな短編のエピソードが断片的に積み重ねられ、 その細かなシーンのくだらない笑いの連続で場内はいろんな場面で笑いが起きる。 笑いにもいろんな種類があるが、一同がどっかんどっかんと笑うようなものと、 各所で散発的に、ここでこの人は笑うのか?みたいな感じで見ていて、 自分のツボにはまる場面では自分も思わず笑っているという、同時多発的な笑い。 そして本作は明らかに後者の同時多発的散発的な笑いの最たるものなのではないか? 池谷のぶえが監督官庁の偉い方と向かい合い 官庁の方が「これからいくつも予定があって…。」という場面で 池谷が「それは、何時半からですか?」と言う。 三宅弘城かみのすけだったかが「なんで、半からなんですか?」と返すシーンがある。 こうして文章に書いて読んで見るとたいして面白いように思えないのだが、 実際に私はこのシーンで笑い出してしまいその笑いを考え出すと止まらなくなり、 芝居が続いているのに笑い続けてしまうという、 まるで麻薬のような独特の笑いの世界に毒されていくのを感じるのである。 そして、もっと毒してという自分がそこに居て いつまでもこの人たちにこのような会話をして欲しいと願うのである。 なので、休憩が15分入っての3時間20分は決して長くはない。 その細かないろんなところで行われるくだらないことを 見続けられる快感にはまっていくことを体験できる。 もちろん「何だ、この芝居は!わけがわからん!」と 怒り出す方もいるかも知れない。 しかし60歳を前にしている私が普通に面白く見られるのだから、 それはやはり個人差なのかもしれない。後ろの席に小学生の男の子とお父さんが二人で見に来られていたが、 その子どももおおいに笑っていた。 なので、こうした笑いを面白がれる人たちと、そうでない人たちというのがいるのかもしれない。 そして私は面白がれる人間でよかったと思う。 自分もKERAさんのようなくだらない話を日常の中で 毎日発しながら生きていきたいと心の底から思う。 でも、その才能は私にはないのでKERAさんの舞台を見て くだらない話の創作のこやしにする。 この「飄逸感」(ひょういつかん)とでもいうものは落語の「飄逸噺」と言われる くだらないネタに通じるところがあるのではないか? 自分が死んでいるのを発見して驚く男みたいな話が落語にある。 「粗忽長屋」というものだが、そんなシュールで不条理な笑いが本作には随所にある。 そして、本作で特徴的なのは、上田大樹と大鹿奈穂の手になる映像のチカラ。 舞台にプロジェクションマッピングされる映像と俳優が一体になった表現が効果的。 生身の人間がそこにいることの価値を最大化させるために映像を道具として 使用するという前提で制作されている。 その基本を理解した人たちが作り上げる俳優と舞台セットと映像が一体となった表現には 一見の価値がある。舞台演出で映像を効果的に使いたい方は必見の公演では。 上演時間 休憩15分の3時間20分。12月12日まで。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
by haruharuyama
| 2021-11-27 10:52
| 舞台
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