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「ダウト Doubt~疑いについての寓話」風姿花伝プロデュースvol.8(@シアター風姿花伝) SNSでとても評判がいいので何とか時間を作ってシアター風姿花伝へ! 行って良かった。本公演はシアター風姿花伝のプロデュース公演。 料金システムが面白い。舞台の前半は安くだんだんと値段が上がっていく。 プレビュー4000円、序5900円、破6400円、急6900円。 世阿弥が自著の「風姿花伝」で説く舞台の展開の「序・破・急」が 金額の設定の名前になっている。 シアター風姿花伝のプロデューサーは本公演にも出演している那須佐代子。 那須さんはこの劇場を創ってプロデュースしようと強い覚悟とともに実行した! そしていくつもの名作を生み出し続けている。 本作もその名作の中に挙げられる作品なのでは。 こんな戯曲があるのか・・・!と世界の表現の奥深さを感じた。 この「ダウト」という舞台は日本でも何度か公演が行われているらしい。 最初はブロードウェイでのストレートプレイとして 2004年に1年以上のロングラン上演が行われた。 舞台は1964年のニューヨーク・ブロンクスのミッション・スクール。 ケネディ大統領が暗殺されたのが1963年。 1964年は東京オリンピックの年である。 黒人の人権をとの、公民権運動が盛んだった頃。 マーチン・ルーサー・キング牧師の「I have a dream」の有名な演説は 1963年の頃。 まだまだ、過去の価値観にとらわれていた時代の 厳粛なミッション・スクールの校長室とその周辺の庭などが 小さな六角形の舞台にうまく配置されていた。 校長は那須佐代子。聖職に着く前にはいろいろあったらしいことが セリフを通して見えてくる。 そして、そこで働くシスターであり教師をしている伊勢佳世。 彼女は若くして聖職者となり、世間のことをあまり知らないまま この学校で働いている。 自分の頭で考えることをする経験がなく育ち、純粋で優しい心の持ち主。 みんなが幸せになってくれればいいと純粋に思っている。 なので、もめごとや葛藤などに巻き込まれたくない。 その場から早くいなくなりたい!というような感覚も同時に持っている。 この学校には男性の教師もいる。男女共学のミッション・スクール。 神父であり教育者でもある亀田佳明。 司祭様の元、教会の毎週日曜日のミサで参列者に説教を行う。 日々、自らの小さなメモ帳に説教をするためのネタやアイデアを ボールペンで記している。 この学校には黒人の男子生徒が一人だけいる。 彼についての「疑惑」が、いや「彼」と彼に優しく接しながら 教育している亀田神父との「疑惑」がこの舞台の中心のテーマとして描かれる。 聖職者はどうあるべきなのか?少数者はどのようにふるまうべきなのか? 少数者に対する理解と寛容の精神は持てるのか? 正義と言う名の元の「不寛容」さは、人を幸福にするのか? そのような様々な問題が内包されつつも、その本質は大声では語られず オブラートに包んだようにあいまいな状態で舞台は進んで行く。 この時代にも性的少数者は同じ割合だけいただろうし、 黒人系米国人も同様だったのではないだろうか? カソリックだろうか?の厳格な教義の中でそれは赦されないことなのか? それは、そこにいることの「存在」自身を否定されることになる。 そして「分断」が生まれる。 これは、今も普遍的な問題であり、本作は厳粛なキリスト教徒としての 物語として語られているが、実は現在の私たちの世界にも通底する 物語でもあるのではないだろうか? 実は、チラシにも書かれている言葉 「疑惑というものは、確信と同じくらい強力で、 長続きする絆になりえるということです」 という言葉の真意がわからない。 これは「信じる」ということ、あるいは「信念」と通じていくのか? 演出の小川絵梨子はキリスト教だけの話にはしたくなかったと書いている。 自らも変化しながら柔軟に外部の状況に合わせて変化していかなければ その世界はとっても生きにくいものになるのでないだろうか? 黒人男子生徒の母親(津田真澄)を校長室に呼び出して 女校長は自らの疑惑を母親に問いただそうとするが その一見「正義」と思えるものは、ある種の旧弊に凝り固まっただけの 価値観の押し付けなのではないか?と 今度は私がその物語の流れに「疑い」を持ち始めるのだった。 そして、物語は唐突に終わる。 私たちに、この続きはみんなで考え続けてくださいね! と劇作家からの贈り物を受け取ったみたいに。 私たちはたぶんその「贈り物」を抱え続けて 生涯を生きていけなければならないのだろう! 作:ジョンパトリック・シャンリィ、翻訳・演出:小川絵梨子。 上演時間1時間45分。12月19日まで。 ![]() ![]() ![]() ![]()
by haruharuyama
| 2021-12-17 09:38
| 舞台
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