「かたとき」ほりぶん 第9回公演(@紀伊国屋ホール)
作・演出:鎌田順也(ナカゴー)。鎌田作品が紀伊国屋ホールで!
いつものメンバー以外の客演がすごいキャスト。
又吉直樹、きたろう、猫背椿などが出演している。
もちろん鉄板のメンバーの川上友里と川﨑麻里子なども出演しており、
そこは安定感のある面々。
鎌田さんの舞台を見るといつも感じるのが「落語」みたいだ!ということ。
ある一つのことを延々とやり続けるみたいなことを、ただ見せていく。
ここで私が言う「落語」とは「人情噺」と言われているものではない。
「粗忽長屋」や「長短」「初天神」などの何とはない話。
そこには大きな物語はなく、世界はそこで閉じられている。
登場人物たちは永遠にその世界の住人であり「はっつあん」や「熊公」は
そのまま歳を取らない。
放送作家の和田尚久さんがおっしゃっていたが「落語」の世界は
まさにTVで放送されている「ドラえもん」であるということ。
彼らは決して歳を取らない。
(※ただし「ドラえもん」の映画版は違うということもおっしゃっていて妙に納得する。)
以前、鎌田さんがおやりになった作品で
川上友里が洋式トイレの中に手を入れてそれが取れなくなったというのを
1時間近く延々とやるという作品を見たことがある。
本作は、その鎌田さんがいつもおやりになっていることを
豪華キャストでいつもより長い90分という尺で延々と見せて行こうというもの。
劇場はほぼ満員。でも「当日券」ありますの紙が貼られているので
当日でも見られるのだろう。
TVでみかけるものすごく有名な方々が見に来られていた。
お話は北区の堀船という街のお祭りでの話。
この祭りを見に来た母子(猫背椿・藤本美也子)、警官(又吉直樹)
そして自警団のおばさんたち、
さらには隣町の自警団のおばさんたち(川上友里ほか)、
不審者の男(きたろう)、不審者の女(川﨑麻里子)、
そして鎌田作品には欠かせない黒衣(野上篤史)が今回も登場する。
こうして書いているだけで「落語」みたいではと思うのは私だけでしょうか?
音楽の選択が素晴らしい。昭和の懐かしいアニメや大映映画のドラマの世界のような
ある種のレトロな曲が流れる。こうした曲を若い人はどんな感じで聞くのだろうか?
多分1970年代以前の感じなのだが。
舞台は書き割りでそのあたりの表現は鎌田順也ワールドのまま。
観客に向けて、どうだ、見てみてください!
これが、私たちがやって来ていることですよ!
どうですか?わかりますか?おもしろいですか?
というような感じで投げかけられたある種の試金石。
見ていて爆発的に受けている人たちと
まったく反応しない方が共存しているのが興味深かった。
ちなみに私の左隣の人は手を叩いて笑っておられ、
私の右隣の方は何の反応もなくたぶんただの一度も笑っておられなかった。
上演時間約90分。27日まで。