「ある女子大生の誘惑」絶対💛福井夏 vol.3(@スタジオ空洞)
作・演出:山内ケンジ(城山羊の会)、
プロデュース・出演:福井夏。出演:奥田洋平、北原州真。
城山羊の会の山内ケンジさんが城山羊以外で作・演出をするという珍しい公演。
初日観劇。
有名な俳優さんたちやプロデューサーさんたちも見に来られていた。
福井夏のことを初めて見たのは、確か「柿喰う客」の
舞台だったのではないか?過去の私のブログを検索すると
2016年の6月に王子小劇場で観た「露出狂」というものだった。
当時、福井さんは大学1年生だったことが書かれてあった。
印象に残ったので福井さんのことにも触れていた。
詳細は、https://haruharuy.exblog.jp/25313189/
あれから7年が経つ。
本作は福井夏がプロデュースもしてもちろん出演もするというもの。
内容はチラシにも書かれてあるが、
ある女子大生(福井夏)が大学4年で企業の内定を取り、
単位が足らないので担当教授にお願いをするという設定。
女子大生は敢えて色仕掛けという方法をとった。というもの。
これを読んで、「ドライブ・マイ・カー」の映画を監督された、
濱口竜介監督の映画「偶然と想像」の中のひとつの短編を思い出した。
「扉は開けたままで」という題名のものだった。
これも教授と単位が取れないことと色仕掛けという要素が絡んだ設定なのだが、
同じ設定でもまったく違う読後感。
濱口監督の作品はある種まじめに淡々と進行していく。
映画ならではの展開なのか?
そして本作は、山内ケンジさんらしい「艶笑軽喜劇」的な要素満載の作品。
どことなく肩の力が抜けた感じがする。
奥田洋平演じる大学教授の単位が取れず
そこにやってくる福井夏。
この設定で面白いのは福井夏が自分の都合だけで話を進めていくこと。
そこに教授とのコミュニケーションのずれが生まれ、笑いが生まれる。
こんな独特な「間」と奇妙な「空間」の舞台を作れることに参りました。
ストーリーの文脈の流れの中で笑いを設定していけるものほど
面白いもの(あるいは「強いもの」?)はないと思うのだがいかがでしょうか?
そこにやってくる教授の助手でもある北原州真。
教授は女子大生とスキャンダラスな関係を作らないように努めるのだが、
福井夏演じる女子大生はトリッキーな方法で教授を巻き込んでいく。
そこに助手が加わり客観的な視点で女子大生に対抗していくという構図。
舞台は火曜日から始まり金曜日までが描かれる。
内定先の会社に返事をするのが金曜日まで。
彼女はそれまでに教授に単位をもらわねばというミッションに果敢に挑戦していく!
福井夏の喋り方が特徴的!
どこか、鄭亜美さんにも似たような喋り方だな!と思いながら見た。
そして福井夏の「柿喰う客」の舞台の時の印象とぜんぜん違う。
笑いどころ満載のこの舞台だが、なんだかその底流には、
ジェンダーやハラスメント、そしてコンプライアンスという言葉が充満して、
創作者が自由に創作しにくいような状況の閉塞感が語られているのではないか?
自己規制や炎上などの外的評価を恐れて萎縮しそうになっている
表現をするものたちへのエールなのか?
と感じたのは私だけでしょうか?
笑いの中にあるそんなことを含めての考えさせられた舞台でした。
上演時間70分弱。1月29日まで。


