「マクベス」地点×空間現代MACBETH(@アンダースロー)
関西に越してきて地点の舞台が見られるようになったのは私にとってとても嬉しいこととなった。
最近は公演があるたびにお邪魔させていただいている。
銀閣寺通りという私のとってはかなり遠方にある劇場だが
その場所と劇場の雰囲気が良く、客数も少ないこじんまりした空間なので濃厚な舞台体験が出来る。
ダムタイプや木ノ下歌舞伎など京都から発信されたこうした上質な舞台の公演の機会があるというのは
京都という土地柄あってのことなのかも知れない。
内省的に突き詰めて静かに、豊かな自然に囲まれながら物事をゆっくりと考える。
という環境が京都にはあるような気がしますが、いかがでしょうか?
今回は超有名なシェイクスピアの悲劇「マクベス」である。
私は過去にマクベスを見たことがあるのかな?と思って自身のブログを検索したら、
2013年にシアターコクーンで長塚圭史さんが演出されたものを見ていた。
常盤貴子さんや、池谷のぶえさんが出演していたことが書かれている。
詳細は、https://haruharuy.exblog.jp/21096300/ をご覧ください。
演出の三浦基は毎公演、戯曲の持つ骨子を明らかにして、大きく演出で再構築していく。
なので古典戯曲が上演されているのだが、ものすごく新しいアバンギャルドな舞台として私たちの目の前に現れてくる。
実は、これって、実は演劇に対してのむちゃむちゃグローバルな視点があるのではないだろうか?
みなが良く知っているシェイクスピアの欲望と愛憎の物語を、どのように提示するのか?ということなのだろう。
過去を振り返ると、蜷川幸雄やピーターブルックなどはまさにそれを実行して世界的に有名な演出家となっていった。
三浦基の作品にも同様のことを感じる。なので地点の海外公演が多いのもうなずける。
手前に傾斜した舞台。床は鏡張りになっている。大きなひらべったい鏡の滑り台のよう。
舞台写真は以下で
https://natalie.mu/stage/news/624031
今回は生演奏。空間現代のミュージシャンが3名、ドラム、ギター、パーカッションなどなどで演奏する。
ほぼ2時間10分の舞台で演奏が常に行われている。
演奏された現代音楽あるいはノイズミュージックと言えばいいのか?と
俳優のセリフ、そして俳優たちが発するオノマトペのような「くっ!」とか「うっ!」という声。
さらには魔女役の3人の俳優たちが発する鳥のようなさえずりや、安部聡子が歌う唄などが
一体となって観客席に降り注いでくる、その混沌とした音が、実はとてもサウンドデザインされていて
独特な感覚を刺激してくれる。
三浦基の演出では戯曲のテキストのセリフを会話形式で聞かせるのではなく、
その要素のキーとなるところだけを抜き出し、左脳で論理的に理解させるのではなく、
全身に演劇を浴びることによる体験を通して何かよくわからないものを残すというたくらみをされているように思える。
そして、そのたくらみは私の身体に染み付き、翌日になった今朝も色濃く体験の記憶、いや感覚が残っている。
その感覚を言葉にするのは本意ではないが、この舞台を見ると、
欲望が肥大していくことで見えるもの見えないものが出来ること、
そして目を開けて見ている人は本当に見ているのか?目を閉じてみてみないふりをしているのではないか?
さらには大量に人が死んでいく感覚、人が死ぬことは突然であり生と死の境目は本当にある種の偶然である。
と。さらには、古来から、私たちは戦争というものを正義という御旗を掲げて行い、
結果多くの人たちがそれに巻き込まれる。
一見きれいに見える「正義」の御旗も見方によっては「汚いもの」になる。
そして、人は平気で裏切り、身体と身体をぶつけ合い命を奪い合う。
それはものすごく激しい行為であり、そのことを目の当たりにすれば、
戦争を許容しようと感じなくなるのではないだろうか?
以上のようなことを無意識で感じさせてくれるのである。
俳優が瞬きをせずに客席をジーっと見ることの強さ、そしてその目で見られていることの怖さが実感できる。
マクベス夫人を演じた、佐藤鈴奈が印象的だった。目を見開いていることの強さ。
そして、マクベスがバンクオーと身体をぶつけ合って戦うシーンで、その目から涙があふれてくるシーンは
忘れられないものとなった。
死に向かっていく佐藤鈴奈の静的な様子と、マクベスたちが戦う動的な様子が対比的に描かれることによって、
その落差が大きいことでより大きな余韻を残してくれた。
マクダフの息子役の尾島叶の俳優としての様子がいい!
尾島さんを観ていて「さとうほなみ」に似てるわああ!と思いました。
上演時間2時間10分。6月17日までの小さな劇場でのロングラン公演。
こうした試みに演劇への愛と良心を感じる。詳細は
https://chiten.org/events-projects/macbeth/
追加公演は
https://chiten.org/news/20250518/



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