「仮面夫婦の鑑」聖天通劇場フェス2025 リーディング公演(@聖天通劇場)
演出:下野佑樹(フキョウワ)、出演:永井秀樹(青年団)、石田麻菜美
加藤拓也という劇作家であり脚本家であり演出家の方がいる。本作を見て加藤拓也のことを想いながら見た。2021年4月にNHKの夜ドラの枠で「きれいのくに」と言うのが放送された、あまりにも過激な内容で衝撃を受け、最後まで真剣に見てしまった。加藤拓也はそれ以外にも、映画や演劇なども手掛けておられている。私は、そのドラマを見た後の公演「ぽに」(2021年10月)「もはやしずか」(2022年4月)「ドードーが落下する」(2022年)「綿子はもつれる」(2023年)などを拝見した。2024年11月3日には加藤さんの「情熱大陸」が放送された。「きれいのくに」ではいい顔の基準というのが全国的に出来ているという世界が描かれ、男性はすべて稲垣吾郎の顔になって暮らすというもの。女性は加藤ローサ。その度肝を抜く設定にびびった。
ルッキズムという言葉が普通に使われるようになって、人の顔や見た目のことを言うことがタブーになりつつある時代。見た目を変えることはどういうことかを考える?医師免許を取った人たちが最近は美容外科への道に進むことが多くなっているらしい!収入は良く、当直や夜間勤務などがないという理由が主であると書かれていた。韓国では美容整形が普通の歯の治療のように普通のこととなっており、韓国に美容整形ツアーに行く人も多いと聞く。
本作はその美容整形をした夫婦の物語だった。仮面夫婦とは、そういうことなのか?と見終わって納得し、そのシニカルなタイトルの付け方に感心する。自分の顔に自信を持てなかった妻が美容整形をして戻ってくる、そして同時に夫も自分の顔を整形した。夫はイケメンにするということではなく逆の方向に整形を行ったらしい。リーディング公演なので、その姿を俳優の身体を通して観客がその変わった姿を想像して鑑賞するというスタイル。意外と想像力を刺激して面白い。ある種、登場人物が複数で演じる落語のようなスタイルと言えばいいのだろうか?
なんで、整形したんや!
と妻を責める夫。しかし、夫も自分の顔を整形しているという逆説が笑える。こういう創作をする大阪の作家がいるんや!と少しうれしくなった。ので、ちょっと「フキョウワ」について調べてみた。https://fukyowa.com/
HPから引用する。2019年8月20日旗揚げ。作・演出を下野が行うオリジナル作品から、既成台本の上演も行う。認知的不協和の中で生きる人々を肯定的に捉えつつ、シニカルとエスプリでPOPに描く作風。「現実に対する不信感」を基軸に、斬新な発想を論理性で組み上げる演劇を展開する。
実はHPを調べていると、この脚本はあの横山拓也(iaku)さんが、お書きになったものと書かれていて大いに納得。さすがの筆力。
そして、同時にその面白い不条理な戯曲をリーディング公演として成立させていく演出力。俳優の身体と発声から生まれてくる奇妙な空気が生み出せることはリーディング公演と実際の舞台の間くらいの感覚。劇場内でも時々笑いが生まれ、たくましい大阪の若い男女の夫婦の姿が見えてくる。
後半になるともはや、整形とかそんなことはどうでもよく、生きてそこにいるだけでええんとちゃうか?新たな命を授かることの幸せだけでええんとちゃうか?と思わせながら、でもやっぱり見た目は大事やな!という、「行って来い」みたいな、見た目と中身との間で葛藤する二人の姿がまさにいま生きている私たちの写し鏡なのかも知れへんな!と思いながら拝見した。
オープニングとエンディングの夫婦の配置と姿が印象的。
大阪の芝居はべたべたな芝居が多い中で、こうしたスタイリッシュな演劇の様子は新たな可能性を感じさせてくれるものだった。今度「フキョウワ」の芝居があればぜひ見に行きたい。



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