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「退屈忍者」MONO 第53回公演(@扇町ミュージアムキューブ CUBE01)作・演出:土田英生、出演者:金替康博、水沼 健、奥村泰彦、渡辺啓太、石丸奈菜美、高橋明日香、立川 茜 毎年のMONO公演。関西と東京で確実に上演してくれる。ある種の安定感があることが54回公演と続いている理由だろう。私が最初にMONOを観たのは中野の劇場での「その鉄塔に男たちはいる」の再演だった。ちょうどOMS戯曲賞を受賞された作品ということで観劇の体験を良く覚えている。調べると中野の「ザ・ポケット」で2001年に上演されたらしい。観劇後、焼き鳥やさんに行ったことも覚えている。あれから25年が経ったのか!と感慨深い。そうして私は39歳からいままでMONOを割と頻繁に拝見させていただいている。唯一無二ともいえるMONO調の脱力系の間の長い笑いと言えばいいのか?とぼけていて、いい意味で緊張感がなく弛緩している独特の空気感がこの劇団にはある。長く一緒にやって来た劇団員たちとの歴史もあってのことだろう。昨年だったかMONOの俳優だった尾方宣久が退団し、俳優業もおやめになった記事を読んだ。iakuの「逢いにいくの、雨だけど」の客演は生涯の記憶に残るものだった。そうした逆風にくじけずに、今回は忍びをテーマにした忍者がたくさん出てくる時代劇。インバウンドの方々が忍者屋敷のイベントなどに並ばれ手裏剣投げなどをされていて、マンガなどの作品でも忍者が出てくる作品がとても多い。どのようにそれを描くのだろう?と思ったら、以下のような話。(以下公式HPより引用) 時は江戸。 大名どうしの争いはなくなり、無用になったものたちがいた。 「忍び」……現在では忍者として語られる面々だ。山里に暮らす彼らの意見は割れる。 変化を受け入れるもの、過去の栄光にしがみつくもの。それは今の私たちの姿だ。 衰退していく忍びたちの群像が奇妙な恋愛話を中心に描かれる。 MONOの真骨頂、軽妙で滋味深い会話劇をお届けします。(以上) とある。まさにここに書いてある通りなのだが。ここから見えてくるのが自分たちの社会に置き換えるといくつかの共通点が見えてくる。 1つ目は外部環境が変わることにより雇用が守られなくなるということ。そして今までの仕事が出来ないことで今までの労働者はモチベーション(やりがい)が保てなくなる。ということ。まさに、私の居たいわゆるマスコミ業界などが今やオールドメディアと言われ外部環境が変わっているのに制作スタイルは変わらずとても非効率的な魅力のない業界と思われる時代となってきた。生成AI時代になって、さらにそうした雇用の再編成が加速し、過去の通常の仕事をしてきた人は変化を求められるようになる。本作でも忍者だった者たちがお寺で働いたり、百姓をしたりして暮らしている。 2つ目は組織と個人との課題。忍者もここではリーダー(奥村泰彦)を顔とした組織が組まれている。しかし、奥村は先代のカリスマ的な顔だったもの亡きあとを継いだものなので求心力に欠ける。藩の上層部が忍びの集団を雇用するのだが、平時になると、その意味が薄くなる。忍びは今で言うところのスパイなので、彼らはまさに武士の時代の「スパイファミリー」とも言える。諜報を行い、身体を駆使して死をもいとわず任務に参加する。 3つ目の視点として、有事の際に何を行うのか?ということが本作でも描かれる。ある部下の謀反が行われるのだが、そのクーデターに対して有事にリーダーは何を判断し実行するのか?みたいなことが見えてくる。そうして、組織や藩のために命を投げ出して働く忍びのものたち。結果、彼らの最前線の命が真っ先に失われていくことになるのが現実。 しかし、本作ではそのようなメッセージ性の強いことは語られない。これは私がそう感じたということなのだが、飄々とした表現の裏に、何か簡単には言えないようなことを感じさせてくれるのも芸術や演劇、あるいは御幣を承知で書くがエンタメの持つある種のチカラではないか? 現在もイランやホルムズ海峡、そしてイスラエル、アメリカ、ウクライナとロシア、東アジアでも緊張関係が続き、南米のベネズエラとアメリカの関係など、様々な課題が本作の時代以上に緊張している。そんな時代に、良くベネズエラはWBCの優勝をした!という現実のすごさ! ある種の視点をずらしながらも何かもやもやっとしたものを独特の弛緩した間と芝居で演じ続けているMONOは本当に唯一無二だと改めて思うのだった。上演時間約2時間。3月23日まで。 公演詳細は以下 https://c-mono.com/stage/ ![]()
by haruharuyama
| 2026-03-22 09:52
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