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「ファッツァー」地点(@アンダースロー)作:ブレヒト、演出、三浦基、音楽、空間現代、出演:安部聡子、石田大、窪田史恵、小林洋平、秋元隆秀、岸本昌也、佐藤鈴奈 (チラシ等 CHITENのHPより引用) 銀閣寺通りの劇場「アンダースロー」に行くので阪急京都河原町駅で降りてバス停に向かった。その時大きなデモ行進が行われており良く聞いてみると「イランでの戦争反対」を訴えるためのデモ行進だった。イランの国旗を持つ人たちがたくさん。同時に、パレスチナへの攻撃に対しても訴えておられた。河原町通りは大渋滞。いつも思うのは京都の市バスの運転手さんのスキルがすごい!あのカオスな空間を良く運転できるな!と驚く。自動運転のバスが登場したら、たぶん、いたるところでバスが停止し大渋滞を起こすのではないか?と想像する。アンダースローで高校の同級生と落ち合う。同級生は久々の観劇らしい。彼女は音楽が好きでピアノを毎日弾いている。なので、コンサートには何度か行っているらしい。たまたま彼女が住んでいる場所の近くの劇場での公演ということで、実験的な演劇作品ですがと前置きをしたら、行ってみたいとのことで共同観劇が実現した。公演後、演出の三浦さんがおっしゃっていたのだが、本公演は急遽上演することになったらしい。その理由を話してくれた。ロシアの芸術監督の招待で「サンクトペテルブルグ」(旧スターリングラードと呼ばれた場所。)で本演目の上演が行われるらしい。実は以前も地点はこの公演をロシアで行っていて、その時もロシアはウクライナと紛争中だったらしい。ロシアの芸術監督は芸術家としての意思でこの公演をいま行おうとされているのではないか?そういう意味ではロシア国民も戦争に関して思うところがある人が日常的にいるのではないか?と想像する。 本作のブレヒトの原作を読んだことがないのだが、調べると1920年代の第一次大戦後に書かれたものらしい。その大戦から脱走した脱走兵のことが描かれている。舞台では反戦などのことは何も語られない。ただただ、その場の現実を描き出す。演劇作品しかも地点の作品なのでその現実はある種抽象化され記号的な描かれ方などが行われる。これを観終わったすべての観客は「ファッツァー」という音声だけは身体に沁みこんでいるのではないか? 塹壕の中と思われる空間で始まる。奥の壁にそって数名の俳優たちが立ったり座ったり。空間現代の3人(ドラム・ベース・ギター)が奏でるノイズミュージックというのか?現代音楽というのか?の劇伴が俳優の動きにシンクロして演奏される。激しい、ドラムのリズム、それに呼応するかのようにシンクロして奏でられるギターとベース、それらが三位一体となって発射される。まるで戦場の最前線にいるかのような気持ちになってくる。奥の壁から2メートル先には1メートルくらいの一段下がった場所になっていてまるで小川のようにも思えてくる。下がった場所は前面、艶のあるステンレスの板が貼られている。その手前に赤いレーザー光のボーダーが置かれていて、そのレーザーに触れるとけたたましいベルの音がして兵士たちは倒れていく。時々、それを乗り越える兵士たち、その場所はどこなのか?もはやわからない。これを観ると戦場の最前線のリアルがなぜか感じられて見ていて苦しくなるような気分となる。戦場に何時間もいたくないとこれを観て考えるのは私だけではないと思う。俳優たちのセリフは銃弾の膨大な射撃音などを想起させられる空間現代の音楽によってかき消され、と同時に彼らの命をもかき消される。それが延々と続くのだ。大量の兵士が何かを叫びたくてもそれが途中でかき消される。これって、まさに今の時代の状況ではないか?ある兵士が落ちていた新聞記事を読むシーンがあるのだが、その記事が現在のイラン戦争のこと。ここで私は、河原町で見聞きしたデモが自分の中で完全につながった。京都のいろんなところでそう感じ考える人たちがいることがわかる。発話は文節を超えて、あるいは文節をさらに切れ切れにして発話される。安部聡子のその発声がものすごいインパクトだった。また自らの身体を重力に逆らって酷使する俳優、佐藤鈴奈の身体を見るに、戦場の普通ではない狂気の状態が身体を通じて伝わってくるのだった。そして繰り返される「ファッツァー」という言葉。言葉はもはや意味を持たずに、その繰り返しや発話の仕方で感じさせるという演出は言語ではない方法ですべての人につたわっていくのではないか?(以下、ネタバレになるかもなので観劇される方はご注意ください) そして、次々と倒れていく兵士たちが最後に、重なり合って倒れた状態で、腕を上に上げてピースマークを出すシーンに心が震えた。決して、戦争は正義などではない。上演時間80分強。5月6日まで。詳細は以下https://chiten.org/events-projects/fatzer2026/ ここに書かれている青山真治さんの文章が、実はすべてを物語っているのかもしれません。 ![]()
by haruharuyama
| 2026-05-03 12:13
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