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「どっか行け!クソたいぎい我が人生」ぱぷりか 第9回公演(@三鷹市芸術文化センター星のホール)作・演出:福名理穂 出演:渡辺真起子、松下太亮、仲美海(劇団4ドル50セント)、松尾 潤、岡本 唯(ぱぷりか)
初演は2022年の12月に今はなき「こまばアゴラ劇場」だった。当時のレビューは以下 https://haruharuy.exblog.jp/32891846/ それを見ると上演時間が100分だった。今回の公演は125分となっているのでどこかを加筆されたのだろう。そして、キャスティングも変わっているので、再演とは言えとても新鮮な感じで見ることが出来た。俳優たちのものすごい集中力が伝わってくる。とはいえ芝居はあくまで自然体。広島の郊外にあるシングルマザー(渡辺真紀子)と大学3年の娘(仲美海)の家のリビングが主な舞台となっている。みていて、仲さんの芝居を観ていて、私は今年の助演女優賞の心のベストテン第1位はこの方かも知れない!と思えるのだった。それくらいこの母子の関係が面白かった。渡辺真紀子の芝居は言うに及ばない。その高いレベルに合わせて仲が自然体で身勝手でもある母親を受け容れていく様子がとてもいい。そこから見えてくるのはこの親子の共依存関係のような姿。母親は娘の為を思ってという前提ですべてのことが行われる。スピリチュアルなものを信じたりすることも、そしてそれを実行することもすべて娘のためを思って!という前提で行われる。娘はその気持ちはわかっているのだが、同時に違和感ももっておりその間で葛藤する。仲さんを観ていてドラマ「エラー」で志田未来とW主演だった畑芽育と似ているなあ!と思って見ていた。目の大きさや細やかな黒目の移動だけで感情の変化が見えてくる。三鷹市芸術文化センター星のホールの中を自在に改造し、ものすごく近い距離で親密感を出す工夫がされているからこそ。そしてこの劇場は伝統的にそれを積極的に行っている。なので、初演のこまばアゴラ劇場の公演よりも大きな劇場なのにより濃密で深みのある芝居を見ることが出来た。母親は何年も前に別れた夫が娘を連れ去りに来るのではないか?という不安を根源に抱えていることが見えてくる。そのそこはかとない不安が彼女をスピリチュアルな方向に向けていく。占いを信じるというシーンが何度も登場するのだが、常に心の中の不安に動かされ心が揺れ動く。娘は一緒に暮らしながらそれを空気として感じている。しかしながら娘が本当に思っていることはなかなか言葉にはされない。個人的に印象的なシーンがあった。娘が何をやりたいのか?ちゃんと言って!と母親が問いかけるシーンがあるのだが、その時に「まるきゅうに行きたい」(渋谷の109のこと)という場面。娘の純粋さとそれを言うことにどれだけ勇気がいったのか?みたいなことを想像する。そして私の姪っ子が今、高校3年なのだが、まさにその姪っ子みたいだな!と思って見ていた。発声などが本当に今どきの若者。仲自身が24歳であるということもあり、そのままで演じているのか?福名さんと綿密な役作りが行われていたのか?はわからない。しかし、あのシーンは本当にいろんなことを包含したものに私は思えた。全編、広島弁で行われ地元のスーパー「フジ」などの名前や地名も登場する。私は広島のことはそんなに知らないが、その地元のリアルな固有名詞が出てくることもとてもリアリティがある。そして、この親子に絡んでくる母親の弟とその妻。優しい弟は姉の激しい性格とかを知っていて、それとは真逆の性格という設定がまた興味深いものにしている。そして母親が働いているスーパーの精肉売り場のバイトの男の子(松尾潤)がまた今どきでいい!今泉力哉監督の映画を見ているような。こうした会話の感じが本当に今どき。若いバイト君と娘の会話などがドラマ「ひらやすみ」にも似た感じでゆるやかでナチュラル。それと対比するかのような母親の不安な芝居が対比的に描かれる。福名さんはそれぞれの正義がということを書かれていたが、それぞれがそれぞれとして懸命に生きていることをこうした語り口で伝えるということに感心・感動する。そして、最後、収束に向けて、いろんな課題を回収していき晴れやかな気分で終わらせたのは福名さんの祈りにも似た思いなのか?いろんな国が自分たちの正義をかざして戦争をする、身近なところでは自分たちの信念や正義をかざして言い争ったりする日常が現実でもある。では、そこで私たちはそのことについてどう考えるの?と福名さんに私たちは突きつけられているのだろうか?そうして、考え続けるきっかけをくれることはまさに芸術や演劇の面白いところです。上演時間2時間5分。6月7日まで。 ![]()
by haruharuyama
| 2026-06-03 09:45
| 舞台
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