本広克行演出。高井浩子脚本。
本広監督と言えば、ドラマ&映画「踊る大走査線」の監督である。
テンポ良く、面白い番組を作るひとだなあと感心していた。
そしてメジャーな方でもある。何千万人もの人が彼の作った
ドラマや映画を見ているだろう。その彼が、舞台の演出をした。
昨年末から今年にかけて、映画・映像関係の監督が舞台の演出を
することが増えてきたように思えて仕方がない。たまたまなのか?
12月には堤幸彦、1月は塚本晋也と本広克行、
2月には行定勲監督の公演がある。
2時間近くを一気に見せるという場の作り方をやってみるのは
非常に面白いだろう。
普段、カット割しながらシーンを分断して撮影している
ということから考えても、新しい経験が出来るに違いない。
で、今回の公演はどうだったのか?
まず、劇場が初めて行くところだった。赤坂見附からすぐの所
MOTI赤坂見附店がある通りの向かいに、
「赤坂グランベルホテル」というのが出来ていた。
小さなブティックホテルとでも、言うのだろうか?
その地下に劇場が出来ていた。新築でデザインも良い。
キャパは約150席くらいだろうか?椅子がまた、デザインされたもので
少しシートが硬く。座席の間隔が詰まっている。
この、濃密な空間で、この舞台は上演された。
映画を愛する、学生時代の仲間たちの10年後を描いた
青春物語。淀みなく芝居が流れていくとまではいかなかったが
なかなか、面白い演出的な手法も使用されつつ楽しめるものになっていた。
例えば、場面転換のところで同じ音がつながりながら、別のシーンになるとか、
テープの巻き戻しの効果音に合わせて、役者たちが逆回転をはじめ
過去に戻っていくというような。
さすが、メジャーな世界でやってきていると、楽しませ方みたいなものは
確実に押さえている。
高井浩子の脚本が、まさに女性が書いたものという感じで
このホンを男性である、本広監督が演出することが面白いなと思った。
女の、平気で嘘をついたりするいやーなところが描かれている。
美人なだけに、その嫌な感じがさらに倍加される。
そういった人間関係に、高井は親の介護という問題を絡めて描いている。
ラスト、セミドキュメント方式で、介護のシーンを映画にする場面が
出てくるだが、そのシーンが強く印象に残っている。
本編はたくさん、映画に関する話題が出てくる。そのことも映画が好きな
方々にとってはたまらないものになる。
客層が、普段の小劇場系の観客とは違う感じがした。
本広監督の好きな人たちと関係者が来ていたのだろうか?