「演劇ぶっく社」創立20周年記念公演と銘打って、
久しぶりにブルースカイの脚本・演出の舞台を見た。長い。
休憩入れて3時間30分。
まるでKERAの「ナイス・エイジ」と同じ長さじゃないか!
KERAを崇拝している、ブルースカイだからしょうがないか?
二日酔いで目覚めたところ、Nさんからのメールで、
この舞台のことを思い出して、新宿歌舞伎町に向かった。
出演者の数もなかなかに大勢で、半端じゃない気合を感じる。
冒頭、ジャンバルジャン役の廣川三憲が、
物干しに干されているスクール水着を
盗もうとするシーンが大げさに語られる。
ラヴェルの「ボレロ」♪の調べに乗って。
中世のコスチュームを着た人たちが、奇妙な踊りをしながら
舞台に次々と現れてくる。
ついにはスクール水着を着た女子までもが三人、
またまた変な振付をしながら舞台に現れてくる。
この冒頭のシーンはとっても面白かった。
振付は、振付稼業air:man。
オリジナルはジャンバルジャンがパンを盗んでしまったという話である。
パロディはオリジナルストーリーのことを
知っている人が多ければ多いほど成り立つ。
そして、オリジナルストーリーから如何に逸脱したり、
ずらしたりすることによって「笑い」が成立する。
今回の舞台はまさしく、そのパロディを目指そうとしていた。
スクール水着を盗んでしまうような異常な性癖をもった
主人公ジャンバルジャンの生涯のストーリーである。
彼が19年の投獄の末、歌舞伎町の町長に就任し、そして・・・。
というように物語は進む。
ブルースカイが案内チラシにも書いていたようにわりと、
原作に忠実であるということは理解できる。
しかし、それがパロディや笑いに転じるレベルに
なっていたのかということがはなはだ疑問である。
ときどき、歌が挿入されたりするのだが、
ミュージカル「レミゼラブル」のテーマ曲のようなイントロが入ったり、
ミスチルの歌を歌ったりする。
はちゃめちゃは、はちゃめちゃでいいのだが、
それだけで終わってしまうと、何とも表層的で
味の薄―いものを見せられているような気分になる。
それは、ひいてはブルースカイの底の浅さを
露呈してしまうことになる。
浅くても、圧倒的に馬鹿馬鹿しいとかナンセンス過ぎるとかの
過剰なものがあればまだ認めたいとは思うのだが、
それを見つけられなかったのがつくづく残念であった。
豪華キャストだっただけに・・・。
挿入曲などの音楽の使い方がケレン味があって面白かった。
何も、ここまでおおげさにしなくても・・・。というような感じである。
また、歌舞伎町に新しく作る原発のCMが
途中挿入されるのが面白かった。
デンコちゃんは放射能で髪の毛が抜け、脳髄が飛び散る。
原発の発電所からはもうもうと白い煙が立ち昇る。
恐ろしいCMである。
これは毒のある素晴らしいパロディになっていたのにね。