わにとかげぎす、という魚類の目があるらしい。
なんじゃ、それは?変な名前!と思った。
下北沢の古本屋「ドラマ」の店員の女の子が推薦してくれたもの。
独特の世界観をもっている。
彼女が好きな漫画家が丸尾末広だから、納得。
随分前に「稲中卓球部」を読んで以来の古谷作品である。
人間の深いところまで到達する描き方が凄い。
画のもつ独特のリアリティとストーリーの描き方がいい形で混合されている。
主人公の男がいい奴なのが救える。
救いのないようなぎりぎりの世界を描いて、
ぎりぎりのところで救うという離れ業のような表現をやってのけている。
主人公の男性のことを好きになる女の子がいる。
彼女が彼につりあわないくらい美人だが変わっている。
そこからそこはかとないユーモアが醸し出される。
2巻では、ものすごい事件が起きる。
その事件に巻き込まれる流れの作り方が
他人事ではないような気分になる。
いつでも、こういった事件に巻き込まれることはありうるなあと思いつつ、
これもぎりぎりのところで描かれる。
ヒリヒリとする漫画である。
そして、読後感は強く、ドーンと気持ちの深奥に留まり続ける。