副題にこうある。「マスメディア依存体質からの脱却シナリオ」。
著者である藤原治は、電通総研を早期退職して本書を出版した。
この時期だからこその内容。
インターネットとメディアの融合を迎えて
これまでのメディアを分配して広告主に売っていた
広告会社の体質は変わらなければならないということ。
広告主や経済環境のグローバル化により、
欧米標準であるグローバルな仕事の仕方の導入を
どのようにするのが良いのか?
という二つの事柄が中心となって語られる。
面白いのは、日本の広告会社
(特に、電通のことを藤原氏は語っているのだろうが。)
は広告代理業ではなく、自己商であると何度となく言及している。
自己商という言葉を初めて知る。
要は、会社自体がリスクをとって広告主のリスクを
補填してしまうような会社ということらしい。
もっと簡単に言うと、ある広告主の広告を請け負って、
TVなどに出稿したとする。その広告主が倒産した場合、
欧米型の広告代理店であれば、
メディアなどへ対しての媒体費の支払い義務はないが、
日本の広告会社は支払うということがルールになっているらしい。
ここまでやる会社は代理業ではないということ。
電通や博報堂は情報商社である。
ということが基本になっているのである。
広告会社はそれに投資し、パートナーシップを築く。
要するに代理業を営んでいるわけではないので
一業種一社制度を守る必要もなく、
原価公開をする必要はないと結んでいる。
現状がそうなのだ。
もちろん、広告主との関係に於いて例外はあって、
欧米グローバル化に従うということであれば、
原価の開示と適切なフィー&マークアップを頂き、
一業種一社制度にできるような仕組みの作り方をするということも
並行して行われているということにも及んでいる。
ただし、それは広告主との関係に於いて限定的である。
しかし、いままでのことは、
現状をわかりやすく示してくれたに過ぎない。
本書を購入した人は、その後、
広告会社はどのように変わっていかなければならないかということを
知りたくて手に取った人が大半だろう。
その方向性みたいなものが何となく示されている。
以下の3点を藤原氏は強調する。
1、R&D(製品開発)への積極的な投資。
いわゆるメーカーの研究開発費にあたる費用を構築し投資すること。
2、組織論の重要性の再認識。
e-プラットフォームでのCRM(カスタマー・リレーションシップ・マーケティング)を
強化するために必要な組織機構に変化していくこと。
3、人材の開発と教育。
グーグルの社員のような面々が今後ますます、
広告会社の中枢を占めるようになるのか?
それともグーグルのような会社が現状の広告会社にとって変わるのか?
その答えがでるのはこれからである。
しかし、大切なことは優秀な人材を効果的に配置し、
新しいビジネスモデルを開発することである。
これはどこの企業にも言えることであり、
その答えは現場にいながらにしてなんとかかんとか
手探りで発見しつつ改善していくことしかないのではないだろうか?
そして、僕たち制作会社は、
その効果的なコミュニケーションのコンテンツを
カスタマーが満足できるレベルで
作り続けていくことでしかないのかも知れない。