本当に、志の輔の独演会はチケットが取れにくい。
この公演もチケットぴあに並んでとったのだが
有楽町国際フォーラム店に並んだので、
他の公演を買う人も並んでおり、
10時10分くらいになってようやく窓口へ。
後ろの方の席だけがようやく空いていた。
9月には国立劇場の大劇場で独演会をやるという。
それだけの観客をたった一人で集められるとは・・・。
さて、本公演は「牡丹燈籠」である。
先日、喬太郎の「牡丹燈籠」通し公演を、
横浜にぎわい座で聞いたばかりだったので、
どんなものになるのかが、楽しみだった。
しかし、同時に初めて「牡丹燈籠」を見る人は
あの複雑なストーリーが簡単に理解できるのだろうか?
とも思った。
舞台の幕が開くと、縁台に豚の蚊取り線香と団扇が置かれ、
志の輔が浴衣姿で現れる。
あれっつ?落語をやらないのと一瞬思う。
一部はトークでございます。で始まる。
天気などのよもやま話から、観客を惹き付ける技はたくみである。
観客にあきさせないように細心の注意を払っている。
そして、このトークの中で、牡丹燈籠のあらすじを語り始める。
人物の相関関係図を出しながら、
その人物を配置しながら「お露」と「お米」はここに
などと大きなパネルに並べていくのである。
しかも全てのあらすじは話さない。
その残りの部分を中心に2部の落語へ続くのである。
2部は一人で2時間近く、それでもはしょってはしょって、
やうやう最後の完結までだああああっと語りつくす。
志の輔は聞かせどころでのためや押さえにメリハリがある。
わかりやすいということにつながるのだろう。
円朝の原作にないラストシーンが用意されているのがまたいい。
このシーンが日本人的であり、
志の輔の好きな芸道物の一端を垣間見る。
師弟関係の深さみたいなものが見えてくる。