原作、ガルシア・マルケス、音楽、マイケル・ナイマン、
演出、蜷川幸雄、脚本、坂手洋二、製作、ホリプロ。
まあまあ!本当に豪華な組み合わせである。
チケット代も豪華である。12000円。
時間も豪華。2回の休憩入れて約4時間。
ガルシア・マルケスの原作はいたってシンプルである。
エレンディラとウリセスの愛の物語。
二人が出会って、別れ、そしてエレンディラが
年老いて死んでいくまでを描いた壮大な叙事詩である。
広大な砂漠を舞台にしたファンタジーとも言えよう。
さいたま芸術劇場の巨大なステージを広大な砂漠に見立てて、
蜷川幸雄はこれでもかというような見せ場をいくつか作っていくのである。
舞台装置などが全て役者の手で動かされるところが非常に面白かった。
ハイテクを使わない良さがそこにある。
オープニングでいろいろなものが宙に浮いていくのだが、
そこから奇妙なシュールリアリズムの絵画のような世界が現出する。
時々、ワイヤーの吊りが入ったり、早変わりが入ったり、
大きな布を海に見立てる演出が入ったりする。
これは、まるで歌舞伎である。
蜷川幸雄が、歌舞伎の舞台で学んだ手法が
応用されているようにも思えた。
ウリセスが太陽に向かって飛んでいくシーンなどは
まさにそうだった。
マイケル・ナイマンの音楽は好みが分かれるところかもしれないが
何度も聞いているうちに、ああ、この曲はこの舞台のための曲として
受け入れた方がいいなと思うようになった。
大音量で流れるミニマルミュージックから何かが始まる予感がする。
今回の舞台で、最も頑張ったのは、エレンディラ役の美波であろう。
彼女は舞台初挑戦なんだろうか?体当たりの演技を見て感心する。
舞台で全裸になるシーンなど、良くも、やってみようと思ったものである。
娼婦役なので、必然かも知れないが、
その身体は弱弱しく、逆にその中から聖なるものを感じることが出来るのだった。
品川徹の語りが仰々しくてこの舞台にぴったりとはまっていた。
また瑳川哲朗の怪演も楽しめる。