3年ぶりの再演。初見。作者の北條秀司は大阪出身の劇作家。
僕と同じ関西大学の出身である。
明治35年~平成8年まで、享年93歳。
「王将」を書いた人と聞いて、ああ知ってる!と納得。
何故、北條秀司の脚本をKERAが演出して、
この舞台をやることになったのだろうか?
トム・プロジェクトのプロデューサー岡田潔のたくらみか?
原作を読んでいないのでなんとも言えないが、
この舞台の成功は現代からの視点を、
狂言回しの語り部として設定してあるところ。
野間口徹が入院している
病院からの視点がそれにあたる。
冒頭からKERAの演出は冴え渡る。
軽い不条理なギャグが連発される。
動きと効果音が連動する。
効果音だけで、
いろんなところに窓や引き戸があったり、
ガラスを何枚も割って
野間口のところに真山章志がくるところなど、
あまりのバカバカしさに笑ってしまう。
ここで、この舞台の基本線が引かれる。
野間口は独特の間合いをもって
その不条理さを笑いに変えていく。
労演の方々が観にいらしていたが、
彼らはそのようなところでは笑わない。
では、そんなところで笑っているオレって?
などと思うのだが、面白いものは面白いのだからしょうがない。
もう、何もかもがそんな調子で進んでいくので、
気楽に役者の間合いや喋り方を楽しむことが出来る。
篠井英介、ラサール石井、板尾創路、六角精児が今回の舞台の四天王。
彼らが江戸時代だろうか?の古典落語のような物語を繰り広げていく。
簡単に言うと浮気話の縁がこじれて・・・。みたいな。
役者の個性全開で、
キャスティングをしたときにこのような舞台になるのかな
という想いがあったに違いない。
特筆されるのはラサール石井の関西弁が素晴らしいということ。
大阪出身なので、イントネーションはさすがであるが、
その言葉が昔の大阪弁なのである。
上方の古典落語などに出てきそうな言葉遣いを
わけもなく演じられるラサール石井の姿に驚いた。
ラストシーンで野間口徹演じる患者が泣きながら、
色恋沙汰の終焉を見つめるところがある。
ここで何故、野間口が泣くのか?という意味がまったく説明出来ないのだが、
妙に、印象に残っている。
このシーンから自分は、何を感じていたのか?
看護婦役のサチコは発見!
新谷真弓に代わる新たなキャラとして期待大である。