新国立劇場が開場して10年が経った。今シーズンから芸術監督が変わった。
鵜山仁(@文学座)=演出家である。
栗山民也から変わって、初めての企画。
鵜山自らが舞台の演出をする。
「三つの悲劇」-ギリシャからVOL1。
この「三つの悲劇」-ギリシャからのシリーズは2,3と続いていく。
ギリシャ悲劇に出てくる登場人物たちが現在の日本に甦る。
川村毅脚本。まず、坂手洋二を彷彿とさせる現代の劇作家が登場する。
クリュタイメストラを演じる佐久間良子が女優である。
そして、この悲劇はその家族たちの物語でもある。
娘が小説家、夫は映画監督。
川村毅の好みそうな映画の世界の人間模様がここで繰り広げられる。
映画界の世界が、ギリシャ悲劇の世界とつながっていく。
表現の仕方は違っても、結局は、家族の物語ではないか
ということがよくわかった。
愛人役の李丹が独特な雰囲気を醸し出す。
外国語を喋る彼女の演技があるとき迫真の演技に変わる。
ああ、これが女優というものなのかな?と思う。
美しい黒髪が妖気に満ちている。
数年前に川村毅が創作した現代能楽集「AOI」にも似た世界観を
また違う角度から、提示してくれたのだろうか?
能楽だろうがギリシャ悲劇だろうが
川村毅の手にかかれば同じようなテイストに仕上がるんだなあと感心する。
有薗芳記の役が川村毅を思い出させる。