現在、ファン数、急上昇中の池田鉄洋の作・演出の劇団ユニット
とでもいったらいいのだろうか?
猫のホテルプレゼンツなので製作は猫のホテルの方たちが行っている。
しかし、このユニットには「猫のホテル」以上の何かがある。
とにかく笑える演劇をここまで追求して
高いレベルを保っているということ自体が稀有なことである。
高い志や脚本があってもそれを体現できる
キチンとした役者たちが存在しなければいけない。
逆に役者がいくら良くても、ある笑いの価値観の中で
トーンなどがコントロールされないとこれまたいい結果にはならない。
表現・さわやかはそのバランスが絶妙にとれている。
だからこそ面白くそしてパワーがある。
しかしながら、現在の小劇場の状況で
このような「お笑い」を中心とした劇団或いはユニットは本当に数えるほどである。
唯一、「親族代表」がそれに近いか?
本作は大きなストーリーの流れはあるのだが、
その流れとは、片岡とミミちゃんの長年に渡るラブストーリーである。
それは学生時代から始まって10年近くの物語。
そのことが縦軸になり、様々な笑えるエピソードが挿入される。
そのエピソードに登場する様々なキャラクターたちは
前作から引き継いでいるものがとっても多い。
佐藤真弓扮する、オーバーオールを着た少年。
彼は楽器店のウインドー越しにいつもトランペットを見ている。
欲しいのだが買えない。そこに片岡がからむ。
また、長井大という空手選手?のキャラクターが秀逸。
変なタレントをいけだしんが奇妙に演じている。
個人的に最も面白かったのはタレントの長井大さんをお呼びして、
録音スタジオでラジオCMを録るシーン。
業界の人々が極端にデフォルメされていて笑える。
まるでホイチョイプロダクションのよう。
20秒くらいのナレーション一つ録るだけで
うろたえ緊張する長井大が本当に可笑しい。
池田鉄洋は幾度かの彼自身の実体験の中から
作り出していったのだろうか?
実名も出てきて面白かった。
また、さらにはテレビ局のプロデューサーと
長井大のエピソードも面白かった。
いまどき肩からセーターを羽織っているのは
テレビ局の方だけではないだろうか?
恐るべし、象牙の塔!
そんな人が本当にいるという話を
ある人から聞いて大変興味をもった。
あー、会ってみたい肩からセーターを羽織ったプロデューサー!
今回は、菅原永二が出演していない。
代わりに客演二人、サモ・アリナンズの佐藤貴史。
そして柳沢なな。
彼女の可愛らしさがこのささやかなラブストーリーに
夢と現実味を与えてくれた。
終演後、ダブル・カーテンコールが起こり、
池田鉄洋自身が戸惑っていた。
不思議な感じがした。