生演奏の映画。初めての経験。
無声映画の上映でピアノ伴奏付きのものがあるが、それとは全く違う。
演奏するのはKUMAMI。
この映画の成り立ち自体が、KUMAMI抜きには語れない。
音楽を主体にした映画を作れないだろうか?
とKUMAMIと彼の周辺のスタッフは考えていた。
それを実行に移したのが石田プロデューサー。
そして映像に定着したのが熊澤尚人監督。
ららぽーと豊洲は休日ということもあってものすごい人だった。
特に飲食店は行列が出来ていた。
豊洲のユナイッテッドシネマ1という劇場は
音楽の演奏が出来る映画館ということで有名である。
ここにグランドピアノが置かれている。
スクリーンの下手にそれはある。
KUMAMI登場!拍手の中、映画が始まる。
女子高校生の切ない片思いを描いた叙情的な作品。
同級生の野球部の男友達が絡む。
学校を中心にロケーションが行われている。
オープニング、いきなりピアノ演奏が始まる。
スクリーンでは役者がいきいきと動き回っている。
ここに何故、この音楽なのか?そして音楽の効果とは何か?
音楽は映画をどのようにしていく役割を持つのか?
ということなどを考える。
通常の映画なら、音楽も台詞も効果音もミックスされた状態で
スピーカーから流れてくる。
今回は、劇中の台詞や効果音とライブ演奏の音楽が違う。
そのことによって
観客は映画の中の音楽を強く意識させる構造になっている。
それは生演奏だから感じられるのである。
そして音圧なども含めて、映画の中での音楽の意味を考える。
いや、感じるのである。
ピアノの音色が叙情を誘う。
ああ、ピアノの音ってきれいだなあと思う。
そのための会場での事前準備は並大抵なものではないだろう。
雨の中で主演の藤井美菜が
手を拡げて踊るシーンが印象的である。
彼女はクラシックバレエをしていたのだろうか?
指先にまで踊る気持ちが込められている。
この叙情性は何だろう?と思った。
そう、岩井俊二監督の映画や新海誠のアニメーション作品にも似た、
「何か」がある。
ある時期に感じるだろう、小さいけど大切なこと。
そのことをいつまでも持ち続ける人たちには
確実に届くだろうメッセージがこの短編の中に隠れている。
KUMAMIの歌声が今も耳に残っている。
この日は、特別に(?)この映画の
その後をテーマにした曲をKUMAMIが披露してくれた。
今後、福岡、大阪、名古屋と巡回していくらしい。
生演奏の、あの感動は体験しないとわからない。