平幹二郎の重さに付き合った舞台となった。
この重厚さは何なのか?
この時代に、逆行しているとも思える重さをもった舞台は逆に新鮮に見えた。
そもそも、この舞台は蜷川幸雄が
ロンドンで演出したものが逆輸入されたものらしい。
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのサー・ナイジャル・ホーソンが
リア王を演じたのが1999年だったそうな。
能舞台を模したセットが組まれている。
背景に松の絵が描かれている。
ときおり、アクセントのように笙や太鼓の音色が聴こえてくる。
和のテイストに満ちている。
RSCの面々はどのようにこの演出を見たのだろうか?
そこに西洋音楽が重ねられる。
叙情的な音楽が「リア王」の悲劇を加速させる。
三人姉妹の年齢の幅が面白い。
銀粉蝶、とよた真帆、内山理名である。
どう考えても同じ母親から生まれたとは思えない年齢の幅。
そして、上の二人の姉たちの策略によって
リア王は悲劇の道を突き進む。
三女、内山理名との交流が最期の最期に行われる。
場内はすすり泣きで満ち溢れている。
高齢者の観客の方々が多かったというのもその理由かも知れない。
親と子の確執が最終的には信頼に変わり、
わかりあえるときになったと思ったら、
その人は死にいくのである。
ここに人生の摂理を感じざるを得ない。
親との確執がなくなり仲良く暮らしていけることが、
どれだけ大切なことなのか良くわかる。
「リア王」はいうなれば相続争いの激しいもの。
そこに、高齢者の方々は自己を重ねて見ていたに違いない。
また、こんなに重厚な演出が出来るのは
蜷川さんをおいて他にいないのではないでしょうか?
年を重ねることによってしか出来ない事があることを教えられる。
ドーン!ドン、ドーン!(重厚な音)