赤坂見附から246沿いに坂を登って、
コロンビア坂と言われていた薬研坂の手前に、
赤坂区民ホールはある。赤坂区民センターの3階。
洒落た作りのこんなホールがあるなんて驚きである。
落語会はこういった自治体がもっている
ホール主宰のものが結構あるような気がしている。
市町村の職員が企画しているのだろうか?
そういえば、3月9日にNHK-BS-HIで
「立川談志10時間」という番組があるそうだ。
誰か録画できる方はいないだろうか?
仕事が伸びてしまい少し遅れて到着。
前座さんの噺を聞き逃す。
桂三木男という噺家さんだった。
つづいて、立川志らくの弟子、立川志ら乃。
マクラを聴いているだけで、この噺家さんは
はうまいんじゃないか?
おもしろいんじゃないか?というのが伝わってくる。
「権助魚」。
田舎モノでおバカな権助の姿が浮かんでくるような噺である。
語り口と間のとり方でどんな印象にもなるのだなあと感じる。
志らくに似た女性の演じ方。
そしてテンポの速いのも師匠譲りか?
続いて、柳亭市馬の「片棒」。
商家の旦那が三人の息子をそれぞれ呼んで、
自分が死んだらどんな葬式を開いてくれるのか?を問うもの。
それぞれの息子たちの回答が面白い。
目の前で行われているように惹きこまれていく。凄い!
特に次男の時の話しで市馬は、
木遣り歌と鳴り物などを全て一人で行う。
忙しい!面白い!
ぐいぐいとその芸に惹きこまれる。
市馬はこれがやりたかったんだろう。
後で談志師匠がこのことについて語った。
本当に噺家がやりたいことをやることで、
お客さんの心を動かすような芸になるんです、と。
ただ師匠に教えられた通り落語を
やっても感動は生まれない、と。
至言である。
仲入り挟んで、松本ヒロ。漫談である。
スーツを着て、社会風刺をする。
彼の風刺はきつすぎてTVからはお呼びがかからないそうである。
本当にそうだろうか?
彼がTVに出演しても今の時代なら大丈夫じゃないだろうか?
イージス艦の衝突の話から、餃子の話になり、
政治家、総理の話になる。毒の効き方が最高である。
このブラックユーモアをメディアが取り上げない理由はないだろう、と思う。
と、同時に松本ヒロの芸はライブで見てこそ
価値があるのではと思った。
彼の毒舌を共有することによって、演じてと観客が共犯関係になる。
そのことによって一体感が生まれ、
毒のある語りがさらに生きてくるのではないだろうか?
最後に家元登場。相変わらず長いお囃子を聴くことになる。
談志は談志であって、それ以上でもそれ以下でもないなあと、
いつも思わせてくれる。
様々なジョークを交え、批評をしながらマクラが進んでいく。
演じてと批評家が同居しているような語り口は談志独特のものだろう。
優れた芸人には、ものごとや自分を俯瞰で見ることの出来る能力が必ずある、
と言われている。
演目は「天災」。
飄逸でとぼけた噺である。
談志のとぼけた語り口が独特で、
途切れ途切れの語り方がシュールでバカっぽくていい。
滑らかに流れるように語られるものとは間逆の芸から、
何か変な雰囲気が醸し出される。
なかなかに素敵な夜だった。
三浦一派のおかげです。