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三好達治の有名な詩の冒頭がこの舞台のタイトルになっている。 「雪」という題名の詩だそうである。 「日本語を読む~リーディング形式による上演」としてのDプログラムである。 合計9つの戯曲が日替わりで上演される。 この舞台に出ている俳優さんと同姓同名の方と一緒にこれを見に行く。 舞台と観客席で同姓同名の人同士が対峙する。 姓名判断を信じるならば同じような運命を告げられるのって どのような気分になるのだろうか? 僕自身もネット検索してみると同姓同名の人が居るんだなあと驚く。 その方は薬学部の学生である。 インターネットの力は凄い。 舞台に8つの椅子が置かれている。 下手から上手へ、椅子が少しずつずれて並べられている。 斜めに整然と、というような感じだろうか? さらに、一番、上手にポツンと一つだけ椅子が置かれている。 そこに座っている男の言葉からこの舞台が始まる。 「ト書き」を彼が読むのだ。 別役実の世界が拡がる。 椅子の前には譜面台がこれまた整然と並べられており、 譜面台の上には譜面を読むための小さな電灯がついている。 天井からは小さな裸電球が吊るされている。 セットはそれだけである。 そこに9人の俳優が座り、台詞を読み始める。 その舞台に出演しているものだけが譜面台の電灯を点けるという方式である。 ああ、この人たちが舞台で演技をするのだね。と思わせるアイデアがいい。 下から照らせれるように俳優さんたちの顔を浮かび上がらせる。 見ようによっては怖い。 稲川淳二が懐中電灯で怖い顔をしながら怖い話をするような感じ とでもいうのだろうか? そこから独特な戦前の世界が現出する。 電灯一つで生活していただろう暗い世界を暗に想像することになる。 譜面台に置かれていた台本は1枚1枚めくられる、 と同時にめくられた台本は床に捨てられる。 バサッという音とともに、多くの出演者が出ている場合はその人数分 バサッと真っ白な紙が宙を舞う。 一緒に観劇したTさんが、あれはまるで雪のようだったとおっしゃる。 なるほどなあああ!と納得。 一緒に観劇し、その後いろいろな印象を語り合うことによって 舞台がより深く、面白いものになる。そのことを考える。 様々な見方の中に雪という映像の要素が 確実にみんなの気持ちを捉えているんだということがわかる。 Gさんが雪の印象について映像的に語っていらしたのも印象的だった。 時代は戦前のクーデターが起きた二・二六事件のそのとき。 時は1936年昭和11年のことである。 その年の、2月26日から29日あたりを中心として語られる。 陸軍の青年将校たちが謀反を起す。 多くの要人たちが殺される。 しかし海軍や国のチカラによって数日で鎮圧される。 その戒厳令下で起こった様々なことが語られる。 対比的に庶民の生活が描かれる。 この生活が壊れるのではないかという恐怖に襲われる。 別にたいした話をしているわけではないのだが、 クーデターという非常事態と対比されることによって 何も起こらないことの幸せが語られる。 ただ単に食事を取るという行為が いかに幸せなことであるのか!を感じさせてくれる。 別役実らしくときどき不条理な話が劇中に挿入される。 最初その不条理さはわかりにくいかも知れないが、 何度も繰り返されることによって人間は順応していく。 そして、その不条理性のルールを理解し面白いと思えるようになるのである。 戯曲の中で特徴的なのは、革命家である北一輝先生が登場するところ。 彼の論理が、二・二六事件のクーデターを起こしたとされる。 そうして北一輝は処刑されるのである。 実は、北一輝先生は二・二六事件などまったく望んでいなかったのではないだろうか? ということがここで語られる。 北一輝のイデオロギーが何故青年将校たちに影響を与えたのか? 人間は後で、やったことい理屈をつける動物である。 理屈がつくことによって納得できることが確かにある。 そのための道具として改造社から出た「日本改造法案大綱」を利用したのだろうか? あの時代のことをリアルに思い描く事が出来た。 それはドラマリーディングだったからではなかろうか? 言葉の海の中に身を浸していると自分の頭の中に映像が浮かんでくる。 そういった効果がこういった形式の舞台には確かにある。 この舞台を見ていて、ああ、そういえば以前、 文学座アトリエ公演でこの舞台を見たなあということを思い出した。 しかし、その舞台は不条理な電柱の下の食卓と、 大げさなクーデターとが入り混じり、ドタバタした喧騒の印象だけが残った。 二・二六事件のことについて思いを馳せる間もなく舞台は進んでいった。 1時間45分とは思えない濃密な時間だった。 脳に汗をかくというのはこのような体験から得られるんだなと思った。 刺激的な舞台だった。
by haruharuyama
| 2008-05-16 08:55
| 舞台
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