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雨模様の森下スタジオに多くの若者が集まってきた。 BATIKのファンと思われる人、ダンス関係者と思われる人で ロビーは溢れかえる。 「トライアル」と銘打った、公演。 BATIK所属の若手のダンサーたちが それぞれに考え、身体と向き合いながら創作しているものをお見せします、というもの。 BATIKの公演自体を東京近辺で見られるのが年に数回しかないので 会場はすぐに満員になる。 そして、後ろのほうには立ち見が出て、通路にも座布団が敷かれる。 僕の隣は関係者席ということで お隣にダンサー&振付家の笠井叡さんが座っていらした。 笠井さん振付のBATIK新作公演が来年の3月にある。 今回はソロのダンス5本と、デュエットのダンスが一つの計6つの小品からなる構成。 最初1時間くらいです、という話だったが実際は休憩の15分を入れて2時間近くに。 その入場料が500円である。 休憩時間フリードリンクとして各種の飲み物が配られる。 まるで発表会のようである。 しかし、これはお遊びの発表会では決してない。 真剣に身体と向き合って表現しようとする彼女たちの真摯な姿がある。 この謙虚な姿勢に頭が下がる。 どれもレベルが高く、素晴らしいダンス公演であった。 やはり、BATIKらしさは、その中のいくつかには確実に踏襲され、 その強さと激しさは、僕たちの身体の記憶として強く残るものになる。 BATIKは「女性」とか「女の子」を意識したものが多い。 その独特な感性は主宰の黒田育世の天性のものだろう。 その黒田のダンスを見て、BATIKに入門してくるだけに、 今回踊った新人のダンサーたちにも同じような雰囲気を感じる。 中津留絢香の「CORE」は四角い白い箱から小さな 同じような形の白い箱を取り出すことから始まる。 その箱は入れ子構造になっている。箱は彼女の子供部屋なのか? おもちゃ箱なのか? その箱が様々な形に置かれながら彼女は激しいダンスを繰り返す。 激しく奇妙にも見えるダンスがBATIKらしい。 最後に彼女が箱の中に向かって笑う。 その無理に笑っている感じが彼女の生きている 切なさと希望を同居させるような思いになる。 目頭が熱くなる。 続いて「fugue(フーガ)」は寺西理恵。 上手から自らの身体を抱きかかえるようにして(あの一人でキスをしたように見えるポーズ) 歩いてきた彼女は、そのまま、舞台上手の森下スタジオのドアにぶちあたる。 やっぱり、この激しさとコミカルさは奈良美智が過去に描いていた いじわるな女の子にそっくりだと思う。 黒田育世自身の顔姿が本当にそっくり。 奈良の描く「Don’t forget me」というシリーズ。 彼女はその後子宮から何かを排出する。 排泄行為を見たような気持ちになる。 しかし、それが蝶々だったことがわかる。 彼女はその蝶々を一心不乱に口で吹き飛ばし続ける。 まるで、過呼吸で倒れるかも知れないというような印象。 突然、彼女は口をふさぐ、いやふさがれたのか? 蝶々の形の手をしたものが拳に変わり、それを見た彼女は身をすくめる。 幼児虐待の光景が拡がりいたたまれなくなる。 三つ目は「本能」田中美紗子。 真っ黒なチュチュをつけて登場する。 クラシックバレエを踊るのか、と思いきや 完全にクラシックバレエの方法から離れたダンスがそこで繰り広げられる。 と思ったら、突然、彼女の口から液体が舞台に吐き出される。 BATIKらしい、えげつないとも取られかねない方法である。 真っ黒なチュチュをきた彼女は床に転がってその液体を顔中になすりつける。 どのような意味があるのかはわからないが、 クラシックバレエではあり得ないことがそこで行われる。 古典的でロマンチックなものに対するアンチテーゼか? 猥雑で暴力的で内臓的とでも言うのだろうか? そういった種類のダンスがそこで行われる。 田中の顔姿が上戸彩に見えて仕方がなかった。 そして、彼女は口紅を取り出し、 拘束されたスタイルをとりながら自らの唇に紅をひく。 そして紅をひいた彼女はクラシックなバレエのスタイルで踊り出すのだが、 そのダンスはすぐに終わる。 口紅をかき消し化粧を拒否した彼女はまた、 最初のような激しく奇妙なダンスを踊り出す。 ペットボトルに水を含んだ彼女がブワッと水を吹きだして 水が空中に舞っている瞬間、突如、暗転。 休憩である。15分間。ロビーにお茶が出る。 森下スタジオはセゾン文化財団が運営しているスタジオである。 普段は舞台やダンスの稽古に使われている。 伊佐千明の「knock」を見て、髪を振り乱すということについて考える。 彼女のボブにしたストレートヘアは丁度、肩にかからない程度の長さである。 その彼女がグレイのシンプルなワンピースを着て、髪を振り乱しながら踊る。 髪をくくらないで踊るということがBATIKではしばしば行われる。 髪を前後に振り乱しながら全員が同じように激しく前後に踊る、 過去の公演のことを思い出す。 髪を振り乱しながら時々ピタっと静止した彼女の髪間から伊佐の顔が見える。 その見え方が魅力的だなあと思った。 伊佐の身体のしなやかさに加えて、美しさを添える。 そのバランスがいい感じで機能しており。 BATIKでは上品な感じの小品に仕上がった。 ラストの二つはうって変わって、BATIKらしくないものだった。 「ジュリー2」。ウエキミナコ演じるそれは、 最初、彼女は本当に女性なんだろうか?と思う。 オネエメンズのような香りを湛えた彼女がロックンロールとともに 激しいダンスを繰り広げる。 まるでバンコクのゴーゴーバーや、プレイボーイガールのダンスのような、 その彼女のダンスを見ていると、映画「ヘドウィグ&アングリーインチ」のことを思い出す。 表情がころころ変わる彼女の舞台は華やかでそして哀しい。 胸の谷間から突然取り出す真っ赤な薔薇がこの舞台の中心となる。 突然のことなので笑いがおこる。 その観客の素直な反応がウエキに対して、優しさを伝播する。 力強い、荒々しい新しいダンスを見た。 最後にデュエットである。 真っ黒な舞台から囁くような声が聞こえてくる。 ○○について話します。○○です。 というようにフレーズが繰り返される。 その声は囁くように語られるので注意して聞かなければ 何を語っているのかわからなくなる。 が、語られていることはとりとめもない子供の頃の思い出話のようなこと。 淡々と、事実を記述するように語られる。 夏休みの画日記のように。 発話している彼女は上手の椅子に座り後ろ手がされている。 土井唯起子。 彼女は鶴田真由に似た美人である。 足で椅子を後ろに少しずつ移動させながら彼女は発話を繰り返す。 下手には黒いワンピースを着た、矢嶋久美子が 葬送のようなダンスを踊っている。 喪服でダンスをしていると思ったのは僕だけかも知れない。 上手の椅子が後ろの壁まで到達したときに、 土井の語り方が囁くような声から急に地の声に変わる。 まるで声変わりのように大人の女へ向かっていくという意味なのか。 声の変化が独特な印象を残す。 彼女は椅子から立ち上がり後ろを向く。 後ろ手の手首は真っ赤なロープで結わえられている。 何を禁止されているのだろう? 「タブーを犯す」ということを一瞬考えているうちに 舞台は突如暗転して終わる。 森下スタジオを出ると5月末にしては随分と冷たい雨が降りそぼっていた。 何故か、人恋しい気持ちになる。
by haruharuyama
| 2008-06-02 07:30
| 舞台
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