バレエの発表会の当日、
プリマドンナたちを乗せたバスが谷底に転落する。
そして、そこに乗っていた運転手と
プリマドンナとバレエの先生たちはあの世へと旅立つ。
なんとかして現実世界に戻りたいプリマたちのバトルがあり、
生き残り合戦が始まる。
といっても、もう死んでしまっているので生き返り合戦と言った方が
適切であろうか?
歌あり踊りありのミュージカル的な作品とでも言ったらいいのだろうか?
折込のリーフレットによるとこの作品自体2
003年に上演されたものの再演となるらしい。
作・演出の田辺茂範は何故、この舞台を再演しようと思ったのか?
田辺のチャイルディッシュさが
悪い方向に向かってしまった作品と言わなければならない。
表面的なものを繕うだけで見せるものはヘタウマにもならない。
そこの境界線の引き方を間違ってしまってはいなかっただろうか?
以前、見たロリータ男爵は美術なども含めて
美しく造形などに関してはとても評価できたように記憶している。
今回の最大の要因はバレエをきちんと踊れない俳優たちが、
そこそこのレベルでバレエを踊るということを見せられたことに起因する。
唯一、精霊と呼ばれる四人のバレエダンサーのみが
ちゃんと踊れる人たちだった。
精霊たちが踊るシーンはそれでも気持ちよく見る事が出来た。
最後の大団円の踊って歌うシーンをやりたかったのだろうか?
それを人にきちんと見せるのに
今回の演出を含めた方法はあまりにもチャイルディッシュであった。
これは、ある種の罪である。
段取りなどが、おざなりになり、俳優たちが
筋を追うことに精一杯になっているに過ぎない。
そもそも俳優がこんなにたくさん出てくる必要が
あったのかとさえ思った。
ゆるさが良さになっていく舞台というのも確かにある。
五反田団などはその典型的な例である。
この「プリマ転生」はゆるさの概念を履き違えてしまった公演になった。
小道具や衣裳の造形はさすがと
思わせるものがあるにもかかわらず残念。
田辺茂範のことを客観的に見ている人がいないのか?
そのことが非常にくやまれた公演となってしまった。
乾いた笑いだけが舞台を駆け抜ける。