「ココではないドコか」である。それは、ドコか?
ミヤケさんからDMを頂いたとき封筒の中にパスポートを模したものが入っていた。
そしてカードは搭乗券である。
旅をし続ける彼女の漂白の個展が開催された。
日本画のような現代アートのような
ミヤケマイの世界は、
いまや、ある完成されたものとなった。
独特のグレイで縁取られた線画の中が着色されている。
そのグレイの線は通常の日本画と比べてとても太い。
そのことが独特の温かみを醸し出す。
また、彼女は様々なものをアート作品として作っていく。
掛け軸を初めとして、紙を切って貼る立体的なもの。
まるで酉の市で購入するような熊手にも似た造形。
それがきれいなアクリルのBOXに収められている。
また、屏風や立体の鳥かごさらには風炉先というものまで作っている。
風炉先には温度計が仕込まれているのがものすごく面白かった。
作品を詳細に見ていくと、細部にミヤケマイの遊び心が溢れているのがわかる。
そのユーモア感覚がまたミヤケマイという
アーティストの人気を加速させるのだろう。
知の神様は手にMAC BOOK PROを持ち、
その画の上の部分に、Googleのロゴが書かれている。
と思うと、柔らかなユーモアの中に叙情を湛えた作品も
彼女のひとつの特徴と言えよう。
「北へ」がこの展覧会で僕が一番好きだった作品である。
この白い世界に佇む妖精なのか、
何なのかわからないキャラクターの造形が哀愁をそそるのである。
これは北海道のある場所の建物なのか?
何故、この作品が哀愁とともに旅情をそそるのか?
それこそ「ココではないドコか」なのかなと思わせてくれる。
今回のミヤケマイ展で新しい試みだと思ったのは
大人の女性が描かれていたこと。
その大人の女性が、動物や子供(妖精?)や
何だかわからないキャラクターを超えていくこともあるのだろうか?
それとも並存していくのか?
またミヤケマイは道具としてのアートもたくさん手掛けている。
実際に日常生活で使用できるものを作り、
それを使うことは心が豊かな気持ちになる。
それがアートの持つ大きな効用であることをミヤケさんは知っているのだろう。
手ぬぐいを初め、巾着やバッグ、そして傘や浴衣と帯に至るまで。
浴衣に関しては朝日新聞のファッション欄にまで取り上げられていた。
ミヤケマイはこれから「ドコ」へ行ってしまうのだろうか?
ゆっくりと大きく飛翔してくれればいいなと思う展覧会だった。