映像テクノアカデミアで毎年行われている集中講義。
今年は、5directorsということで行われている。
山内健司さんは電通映画社の出身である。
最初は電通のクリエイティブの人と企画やCM制作の作業を一緒に行っていた。
その後、自らがCMを企画するようになり
自らの企画を演出する演出家として独自の路線を歩んだ。
大手広告会社ではない独立系の広告会社やクライアントと直接という
ところで山内さんがCMを生みでだしていくという方法が生まれてきた。
初期のNOVAや静岡のパチンコホールのコンコルド、クオークなどは
まさにそのようなものだった。
そして山内さんは独特な印象を残すCMを作り続けることによって
ある種のスタイルが確立される。
それこそが山内さんらしい、という。
山内さん的なCMという言葉まで出てきた。
ある時期、山内さんもCMに飽きはじめていたときがあったそうである。
その頃、映画に対する想いや長尺物などに興味が移っていく。
深夜ドラマや「世にも奇妙な物語」の演出などを手掛ける。
そうして、山内さんはついに舞台の作・演出を始める。
山内さんが脚本のみを提供していた
舞台から見続けていた僕は非常に興味をもって劇場に見に行った。
5年くらい前のことである。
新宿のパンプルムスという劇場だった。
主演女優は深浦加奈子さんだった。
深浦さんが今回の講演でも紹介CMの中に出てくる。
一番驚いたのは、コンコルドで病院に入院している深浦さんの姿を見たとき。
死に行く母親(=深浦加奈子)が出てくるCMがあり、
先日亡くなった深浦さんとリンクした。
ある叙情性がコンコルドのブランドイメージをさらに醸成していく。
制作は大変かもしれないが、
山内さんは、技術がそれをカバーしているという。
プロフェッショナルならではの言葉である。
そして、山内さんは代理店の方の企画を演出するものとして参加するようになる。
ソフトバンクの白戸家のシリーズがそうである。
俳優に演技をつけたりすることに、演劇を自らやっていることが
とっても役に立っているとおっしゃっていた。
そういった技術の集積が山内さんの中に確実にある。
15秒の企画コンテを30秒の演出コンテにしていく業は
山内さんならではなんだろう。
ソフトバンクのCMの特徴として過去のCMに突っ込みを入れる事が
出来るのが大きな特徴であるという話は面白かった。
過去の自社のCMに対して自らの批評性を持ちえることによって
違う視点からCM世界をさらに豊かに描けるのだろうなあと思った。
最後に、山内さんは仕事をする際に、自分に対して納得できることをやる!
とおっしゃった。
つまらない企画はやらないこと、そのレベルを維持していく事が
重要なことですよと語ってくれた。
その高い志をもって広告作りをすることこそが、
山内さんらしさをずーっと保っているのかもしれない。
山内ケンジの舞台新作公演は
11月20日からtheatre iwatoにて。
城山羊の会プロデュースです。