作・演出・プロデュースの水木英昭のプロフィールは以下。
1988年劇団スーパー・エキセントリック・シアターに入団。
オフSET水木英昭プロデュース公演は人気が高かったが、
SET第38回本公演を最後に2000年に退団。
この公演は2005年に上演された「眠れぬ夜のホンキートンクブルース」の
完結編という意味なのか?
前作の「眠れぬ夜の電波ハイジャック(再演)」が
面白かったので今回も楽しみだった。
今回は「電波」と比べて、シュールなバカバカしさは幾分抑えられている。
その分、母娘との関係や、男同士の友情みたいなものが
わかりやすくきちんと描かれている。
舞台は横浜のホストクラブ。
同級生だった友人三人がひょんなことからホストクラブを始める。
ホストクラブにCATVの取材が入ったりする。
水木はこういうメディアの使い方が上手い。
メディアの持つ特性を批評的に描き出す。
繁盛しているホストクラブは拡大し、支店を増やす。
そんな中、神奈川県警が風営法の取締りを初め
多くのホストクラブが標的にされ営業停止などに追い込まれる。
いつも取り締まりがあるときに地味な女(小松彩夏)が
ホストクラブに来ているのだった。
その彼女が実は・・・。
というような話。
筋道だって描かれているので破綻しないまま物語は続いていく。
時々、ホストたちが一斉に歌をうたうシーンがいい。
南流石の振付である。
こうやってちゃんと振付師が介在していることによって
舞台が芳醇なものになるのだと思った。
ちょっとしたことが記憶に残るのである。
「チャッチャッツチャー♪」といみんなの一斉の動きと発声は忘れられない。
演劇的な手法である。
津田英佑の歌がいい。
そして宮本大誠である。
この日は、宮本のお師匠さんにあたる西岡徳間さんも見にいらしていた。
いつまでも一緒にやっていた後輩の舞台を
気にかけていらっしゃる師匠の姿が焼きついた。
宮本の今回の「武蔵」という役はかなり難しい役。
真面目な金融マンだった武蔵は友人の誘いで
自分の好みと似ても似つかないホストの商売を始める。
彼には妻がいる。
本当は、二人だけで一緒に静かに
居るのが一番好きな男。
情けなくて優しくて、だからこそ
借金を莫大に抱えてしまったどうしようもなさと、
可愛らしさが同居しているような男。
そんな男を宮本が演じるのである。
映画「男樹」で本宮ひろしの世界を演じきった俳優が
今度はまったく別のキャラクターを演じる。
大人の男の哀愁を漂わせることが出来るようになった今、
宮本大誠は新たなステージに踏み出して行くに違いないと確信した。