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10月に様々なコンテンツ関係のイベントがある。 これをまとめて、JAPAN INTERNATIONAL CONTENTS FESTIVAL 2008 と名付けてある。今年で2年目だそうである。 今月、15のオフィシャルイベントがある。 東京国際映画祭や、ゲームショウ、アニメ、音楽、テレビ番組などの 様々なコンテンツのイベントが目白押しである。 この「劇的3時間SHOW」というのはその中のオリジナルイベントとして行われた。 10人のコンテンツプロフェッショナルがみっちり3時間語るというもの。 ある日、どこからか案内のメールが来て申し込んだ。何と無料。 全ての人に開かれているイベントである。 この懐の深さは一体?と思ったら、「百人委員会」というのがあって コンテンツメーカーを初めとする企業たちがお金を出し合って その資金で運営されているのだということを知る。 見城徹の出演している番組と著書をたいていは見ており、 個人的にとってもお話を聞いて見たい方だった。 実際の生の見城さんを見て何か得るものがあるのかもしれないと思ったのである。 スパイラルホールに到着すると、友人のA社長も来ていて、お互いビックリ。 今回のSHOWは二部構成となっていた。 郷ひろみの曲で登場!「ダディ」の出版のことについて語られた。 見城徹の著書「編集者という病い」(@太田出版)に詳しくは書かれている。 今回は、本書では書かれていなかったことを中心に記述していこうと思う。 第一部は見城徹について対談相手というか先導役を中森明夫が勤める。 見城さんは現在57歳。喋り方がいい。 ああ、こういった喋り方と声とそのキャラクターが持つチャーミングさと その底に秘めている激しさと強さがないまぜになって 多くのアーティストや作家を口説き一緒にモノを創り成功させてきたのだな!と思った。 見城徹は約束の時間に遅れない。 そして約束を守る。 名刺は自分から進んで出す。 名刺を出されたら全ての方に名刺をお返しする。 そして残念ながら名刺が切れてしまったとしたら、 翌日、簡単な手紙とともに名刺を速達で送る。 ある大きな会社の女性プロデューサー4名と会食をした際に、 名刺を忘れた女性プロデューサーがいたそうである。 見城さんが、名刺を封筒に入れるだけでいいので 必ず送ってくださいと言ったそうであるが、 彼女は2ヶ月経っても名刺を送って来ない。とおっしゃっていた。 見城さんは、タクシーに乗るときも礼節を欠かさない。 それは一つの例に過ぎないが、 丁寧に「すいません。 近いんですが少しチップをお支払い致しますので○○までお願いします。」 運転手がそれに返事をしないと 「○○までって、わかりますよね。」ともう一度尋ねる。 運転手が、曖昧な返事をすると 「テメエちゃんとわかってるのかああ!」となる。 ということを聞いた。 面白いなあと思った。完全に筋が通っている。 筋をきちんとしない人に対して見城さんは怒っているだけなのである。 それは全ての場所で行われていたそうである。 若き見城徹と中上建二は新宿ゴールデン街で 最強のタッグマッチと言われていたそうである。 もとい。見城徹は中森明夫を紹介する。 その紹介の仕方が上手いのである。 人をこうやって紹介できるというのはやはり 作家やアーティストのいいところを見い出していつも 言葉にしていることだから出来ることなんだろうなと思った。 新人類という言葉が1980年代前半に出てきたのだが、 そのときの一人が中森明夫であった。 彼は小林秀雄、江藤淳、柄谷行人につづく稀代の批評家ではないかとおっしゃる。 中森明夫と見城徹との出会いは「BRUTUS」で特集された アフリカのアーティスト「ムパタ」のプロモーションの労をねぎらった 見城さんから中森さんに対する御礼の留守番電話だったそうである。 今回のタイトルを見城さんは「異端者の恍惚」と名付けた。 もともと自分自身が人とは違うのではないかという違和感を持ちながら生きてきて、 当然いじめられっこであり、それを許さない自意識とのジレンマで悩む。 そうして犯罪者と紙一重の世界で表現をしていく。 これこそ芸術家ではないか?と思ったそうである。 見城徹という男は編集者で上場企業の出版社社長という肩書きをもった、 芸術家なのではないか?と。 最も、アートとビジネスのバランスが取れている芸術家。 宮崎駿や川久保玲などに感じる、同じものを見城徹は持っている。 それは二部の鼎談で登場する、 エイベックスの松浦社長とミュージシャンの事務所オーガスタの社長 森川さんにも通底するものがあった。 見城さんは語る。 表現とはマジョリティの中からこぼれ落ちるものの中から生まれる。 そこから生み出された作品を流通させるために マジョリティへの変換作業を行う。 その矛盾の構造の中を生きるということが編集者の 見城徹の仕事ではないかと。 林真理子の「ワンスアイアー」(@角川文庫)という本の中に 見城徹が登場してくるそうである。 見城さんは林真理子と二人三脚で走って来たと語られる。 これが、見城徹の言う、切り結ぶという意味の一つなんだなと思った。 「ゴクミ語録」を出す際にオスカープロモーションの社長に 説得に行く時のエピソードも話された。 作家やアーティストに対して口説く時は、 大体のものを読んだり聞いたりして、そうして彼らに対して 思ってもないことを言ったり、彼らの中にある無意識の意識を解明して、 言葉を投げかける。 パーソン・ツー・パーソンの批評行為である。 そして、そのときにこの言葉を投げかけることによって、 この人は僕についてきてくれると確信できる瞬間ほどスリリングなものはない、 これが「異端者の恍惚」の一つの例なんだと思った。 「RYU’s BAR」のエピソードについても語られた。 当時、この番組に出てくれそうもない人を説得して かなりの人に出演してもらったのが見城さんだったと聞いた。 坂本龍一はじめ多くの人が出てくれたそうである。 会社を超えて自分たちの世話になっている アーティストの全てをバックアップしフォローするのが編集者なのか?と思った。 坂本龍一がアカデミー賞をとった時もまさにそんな感じだったそうである。 坂本の同行役として見城さんが同席。 見城さんは坂本さんの会社の取締役を もう20年以上おやりになっているそうである。 見城さんは社会と折り合いがつけられない人たちの言葉を語ってくれた。 三菱銀行に立てこもり行員を人質に取り殺された男、梅川。 「俺をうらむな、社会の常識と俺は違うんや!」と言っている時に 警官が侵入し射殺される。 山口組の竹中さんを襲撃したナガノシュウイチの言葉。 「俺は俺の内部の掟でやったんや、世間の掟と俺の掟は違う」と。 また朝日新聞で自ら発砲自決した野村秋介の言葉も印象的だった。 「是非を説くな、激しい雪が好き」と。 このような言葉を上げて、見城は世間と折り合いがつけられないものたちの 魂の叫びを聞く。魂の叫びを聞く事が出来るものだからこそ、 作家と切り結ぶ事が出来たのだろう。 彼らと作家は本当に紙一重であると見城さんは語る。 編集者のいいところは作者が犯罪者であっても その作品が素晴らしければ本を出そうとする、 そういった人種が編集者であるとまで言い切られた姿は潔いものだった。 編集者も異端の中に身を置いた人の中からしか出てこない。と。 中森明夫はその見城さんの姿を「過剰!」という言葉で代表された。 自らは現状に留まらず常に新しい場所を目指して全力疾走している 男の姿を見る事ができる。その全力疾走をもって多くの作家と付き合う。 村上龍から延々と長い電話をもらい、そのあと宮本輝が ああでもないこうでもないという連絡を寄こし、 それが終わったと思ったら、中上建二から電話があり、 夜中に見城さんの家にやってくる。 二人はそれから飲みに出かけるのである。 すさまじい生活の中に見城さんは快楽や恍惚がみいだせる人なんだろう。 喋りを聞いていて思ったのは、 この人は人とおしゃべりするのがすいごい好きなんだろうなあと 思わせてくれる人であるということ。 それは見城さんのサービス精神の表れでもあり 全力疾走の記録の一つでもある。 尾崎豊とのエピソードはさらに強烈である。 詳しくは「編集者という病い」を読まれればいいのだが、 いまだに見城さんは尾崎豊の曲を聞くといたたまれなくなって音楽を消したり、 その店を出るそうである。 お互いに傷つけあった戦争帰還兵のような見城さんが インターミッションで流した曲は、尾崎豊の「シェリー」だった。 この曲を聴いて、見城さんは彼に文章を書いてもらおうと思ったそうである。 15分の休憩を経て第二部である。 音楽プロダクション、オーガスタの社長、森川さんと エイベックスの社長、松浦さんとの鼎談である。 森川さんのところはスガシカオ、山崎まさよし、元ちとせ、スキマスイッチ といったアーティストが所属している。 森川さんは自分がいと思った人しか売り出さないと言う。 松浦社長も同じ事を言う。 それはそうだろうと思いつつも、 その人の人生を背負って売っていくということは それだけの想いがないと出来ないということでもある。 そして売り出すときには細心の注意を払い こまかいところまで気を使いながらプ ロモーション活動をしていくとおっしゃっていた。 元ちとせはいきなりデビューして大ヒットしたような印象を受けるのだが、 そこに至るまでの数年間の準備期間があったそうである。 ここに居る三人に共通して言えることは、 ものすごく不安症でいつも悪い方を考える。 そして小さなことにこだわって、 小さな不安をひとつひとつ消していく。 そういったことを日々行うことによって世間を動かす事が 結果的に出来てくるのである。 そして同時に彼らは好きで好きで仕方がないから仕事をやる。 自分の好きなものに対してありとあらゆる努力をする。 いろんなアイデアが出てきて興奮して眠れなくなるそうである。 好きなものに対して努力するというのが本当に好きという意味だと思う。 何となく好きでは仕事にならないと彼らの口から間接的に聴こえてくる。 こんなに努力しているんだから、 運がいいですねと言われたら、 本当は俺たちは100倍の努力をしてきた結果ですと言いたいとおっしゃっていた。 そして創業者である三人ともリスクをしょってやっている。 それはアーティストの全人生をもしょうというリスクも含めて。 「一人の熱狂から作品は生まれる。」 いい言葉である。 ある作家性ということをこれほど言い表した言葉はないだろう。 このような言葉を聞くと、著作権が大切なものであることが身に沁みる。 その後、見城さんと松浦さんは上場したことについて語られた。 どんどんとコンテンツメーカーも上場をするようになった。 見城さんは自分がやってきたことは一体いくらの市場価値をもっているのか? ということを測りたくて上場したとおっしゃっていた。 上場の際、幻冬舎は1000万だったものが400億の市場価値となった。 松浦社長が酔っ払うと面白い言葉が出てくると見城さんがおっしゃる。 この鼎談ではワインが皆に注がれそれを飲みながらのトークだった。 見城さんのワインを注ぐタイミングや気の配り方が絶妙であった。 こういったことを日常的にやり慣れていないと出てこない身体性が そこに見て取れるのである。 いろんな方と多くの会食を重ねてきた結果が こうやって見えてくるのだなと思った。 また同じような言葉が繰り返される。 「クリエイティブは一人の熱狂から生まれる。」 アーティストをビジネスの回路につなげていくために圧 倒的に努力しなければいけないと何度も繰り返されていたのが印象に残った。 最後に見城さんが一人になって観客に語ってくれた。 人生の成功や不成功なんて死ぬ瞬間になるまでわからない。 その瞬間、ああ、いい人生だったなと思って死ねる人は幸せである。 今、何故自分が頑張っているのかを毎日自問している。 本当にもうやめてしまおうの連続である。 でも懸命に生きよう悔いのないように生きようと思って この仕事を続けるという自分自身への決意表明と同時に 僕たちに強いメッセージとして語ってくれた。 アンドレ・ジイドの「地の糧」に生きることについて書かれた 言葉を引用されて見城さんの3時間は終わった。 幸福になる秘訣は、快楽を得ようとひたすら努力することではなく、 努力そのものの裡に快楽を見出すことである。 フルマラソンを走りきったような3時間だった。
by haruharuyama
| 2008-10-13 08:22
| 時事放談
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Comments(2)
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素晴らしい内容でした。本当にお聞かせ頂けてよかったです。
>運がいいですねと言われたら、 >本当は俺たちは100倍の努力をしてきた結果ですと言いたいとおっしゃっていた。 真にそうです。その恍惚と完壁性に、殆どの人間が辿り着けないのです。
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Tenさま。コメントありがとうございます。見城さんの圧倒的な情報量がこのイベントをさらに面白いものにしてくれたのだと思いました。
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