フランス現代美術界を代表する、鮮烈な女性アーティスト。
と副題にある展覧会。久しぶりの森美術館。
展望台に行きたい人と、この展覧会に行きたい人が混在している.
両方行ける、チケットを売っているというのが面白い。
値段を少し下げて、どちらか一つをというわけにはいかないのだろうか?
展望台には目もくれず美術展へ。
「キモカワイイ」という言葉があるが、
まさにそのようなコンセプトに貫かれた展示であった。
一瞬、先日亡くなった野田凪さんのことを思い出した。
鳥や動物の剥製が飾られているのだが
その頭部にはぬいぐるみの頭部が被せられている。
リアルなものとフェイクなものの合体がそこに見られる。
またぬいぐるみの中の詰め物を抜いて
まるで皮だけを剥いだ毛皮のようにもしたりしている。
ある部屋では、女優さんの写真と思しきものが
たくさん飾られた部屋があるのだが
それぞれの歯がひとつだけ真っ黒で欠けたように見えるのである。
全ての肖像写真がそのようになっている。
それだけで、笑顔が異常なものに見えてくる。
また、ぬいぐるみがバラバラに分断されて吊るされているものもたくさんあった。
そのとき見ているものは動物や人間の身体が
バラバラになっている状態だと認識してしまう。
そのイメージを持って見ると、気持ちの悪いものに見えてくる。
そしてさらに、これらの分断された身体が
ワイヤーのチカラによって少しずつ動いているのである。
そのことがまた奇妙な印象を残す。
バラバラに分断された身体が動いて変容することによって
また新たなイメージを喚起する。
また血液や血管の表し方も凄い。
ぬいぐるみに赤と青の毛糸を這わせるとまるで、
動脈や静脈のように見えてくる。
そこにストッキングなどを被せてあり、
ああ、これは下半身の部分で皮を剥いだ状態で吊るされているのかと想像する。
身体全体から赤い毛糸が出ているぬいぐるみもあった。
黒い身体から出ているそれはまるで毛穴という毛穴から
血が吹き出ているような印象を持つ。
また女性の下半身と思われるものから
赤くて太いものが垂れ下がっているようなものもあった。
明らかに月経で下血しているシーンを彷彿とさせる。
一番面白かったのは、赤い布が部屋一面に敷かれており
その下を空気が通り抜けるというもの。
歌舞伎でよくある海の表現に似ている。
風がアトランダムに吹いて来ており、
赤い布が様々な表情を見せ飽きない。
赤い布の下には、カンブリア紀の生き物のようなオブジェが光ったり、
クラゲのようなものが光ったりする。
そうかと思うと、天井からなんとも言えない
黒い板状のオブジェがたくさん降りてくるのである。
この部屋に10分以上いたのだが、
驚きが次々と現れる不思議な体験だった。
また、アネッチはぬいぐるみ状のもので文字を作っている。
それも彼女の特徴の一つである。