人形劇団プークは来年で創立80周年になるそうである。
老舗劇団。
人形劇団がこうやって、長く長く残り続けていけることを嬉しく思う。
そして、長く長く続けられて来た全てのスタッフの方々の情熱を
本当に素晴らしいことだと思った。
演じてやスタッフもいったいいくつなんだろうと思われる方が
現役でバリバリとやられている、と同時に若いスタッフも一緒に活動している。
その全てが現場で行われ完結する。
民間企業にこのようなスタイルが持ちえるのだろうか?と思った。
と、同時にこの環境で続けてこられたことの奇蹟を感じた。
今回は「おとなの時間」と称して大人向けの演目を選び
上演してくれるというもの。
ブルガリア大使館の後援を受けて行われた。
「bプログラム」を見に行く。二部構成からなる。
まずは「動物たちのカーニバル」影絵である。
演者たちの手をつかって様々な動物たちに見立ててのパフォーマンス。
サン・サーンスの「動物の謝肉祭」がテーマになっているらしい。
構成・演出はブルガリアの二コリーナ・ゲオルギエヴァ。
彼女が演出するのでブルガリア大使館の後援がついたのか?
また、この作品の初演は何と1968年とある。
40年も前の作品がここで上演される。
いつまでも古くならないものがある、ということを実感する。
今、見ても十分に楽しめるものになっていた。
ちなみにパンフレットによるとプークによるゲオギルエヴァ演出は
1979年が初演となる。
ライティングと影の大きさと動きだけで見せていく影絵の世界は想像力を刺激する。
これは何かな?という図形認識能力が問われる。
15分間の休憩を挟む。
1階のロビーで指人形や手袋人形などが売られている。
キャラクターを用いて物語を新たに作っていくことを考えるだけでわくわくする。
想像力は人間にもともと備わっていた特別な能力であり決してなくならないもの。
その原初的な欲求が刺激される。
第二部は井上ひさしさんの脚本である。
1999年プーク創立70周年記念のときに上演したもの。
モリエールの「守銭奴」を下敷きに、
江戸時代に置き換えた世話物のように翻案されている。
話し言葉も七五調で語呂が良く、聞いていて気持ちがいい。
まるで歌舞伎の世界のようである。
日本には伝統的に文楽という人形を使った劇形式がもともとある。
人形劇はそういう意味でも馴染み深いものであるのだろう。
人形だからこそのデフォルメされた身体表現が笑いを誘う。
これは文楽にはない表現のしかたである。
強いて言うならばギャグマンガかアニメか?
そして、そのような表現が、年配のお客さんに受けている。
観客の年齢層は劇団の年齢につながるのかもしれない。
60代―70代の方々が多い。
彼らが小さい頃に見た表現形式に還っていくのかもしれないなとも思った。
この舞台の題名は「金壷親父恋達引」(かなつぼおやじこいのたてひき)という。
戯画化された守銭奴の金左衛門とその息子、娘の恋の物語。
様々な古典文学や歌舞伎や狂言などなどが引用されている。
それをうまく組み合わせてまったく新しいオリジナル
世話物ストーリーを作り出す手腕はたいしたものである。
井上ひさしの才能の豊かさを感じる人形劇だった。
井上ひさしの原点がそこにあるのかもしれない。
「ひょっこりひょうたん島」での井上脚本は国民的であった。