明日から公開される映画作品。
東銀座の駅の北側の改札を出ると
ここの試写室のビルに直結している。
歌舞伎座の晴海通りを挟んで向かいのビルである。
1階には、岩手県が出している郷土ショップがある。
監督の窪田さんから案内状を頂いた。
初の長編監督作品である。
以前、埼玉のスキップシティで行われていた
映画プロデューサーのセミナーに行った際に、
窪田さんはそこで新人監督として蒼井優主演の「メモリーズ」という
短編映画を製作されていた。
その短編を見て窪田監督に興味を持ち、
これまでに何度かお会いして食事をしたりしていた。
また、昨年YUMINGのベストアルバムにまつわる
短編映画三部作がネット配信された。
その中の一編を窪田さんが監督されたということも聴いていた。
本仮屋ユイカが主演したものだった。
僕が、たまたま、昨年の春にYUMINGのベストアルバムのCMを作ったことがあり、
これも何かの縁なのかなと思う次第だった。
短編三部作は話題になり、NHKでオンエアーされることになった。
その窪田監督の満を持しての長編映画である。
主演は塚本高史。
塚本高史と父親である國村準の父子の軸を中心に描かれる。
本田孝佳の原作本を読んで
窪田監督はどうしても映画にしてみたかったそうである。
窪田さんらしい、甘いお話。
まるで1970年代の良質な少女漫画を読むような感覚がそこにある。
窪田監督には、岩井俊二の作風にも似たものを感じる。
父親がガンで余命いくばくもないことがわかり、次男の塚本に頼みごとをする。
父親が以前付き合っていた彼女を捜してくれないか?というもの。
彼女との間に子供が居るということを知らされる。
手がかりは父親がその当時デッサンをしていたスケッチブックだけである。
その場所と同じ場所にいったときに塚本高史はタイムスリップするのだろうか?
突然、父親の若かりし頃とそのとき付き合っていた彼女が彼の前に現れる。
彼女役の原田夏希が魅力的である。
1970年代の美人はこんな感じだろうなあ?ということを再認識させてくれる。
もちろん茶髪などではない黒くて長い髪。
ああ、これは「時をかける少女」だな!と思った。
筒井康隆の名作が甦る。
と同時に、ああ!窪田監督の映画の持つ、独特な甘い感覚は、
大林宣彦監督にも似ているかな?とも思った。
秀逸なのは、国村準の妻を演じた風吹ジュンである。
彼女は父親の前の元彼女のことも知っており、
そんなことも全て受け入れて國村と一緒になる。
その当時の國村の思いをもう一度受け止めて
昔付き合っていた元彼女のことを、広い心で受け止めようとする。
その妻の気持ちの吐露を塚本は真剣に聞いている。
こうして塚本は人間として成長する。
父親の遺伝子が引き継がれるように。
甘い中にも細い意志がかすかに残る感覚が
この映画の最も特徴的なものだろう。
俳優たちの台詞が沁み込んで来る映画である。