何とも奇妙な舞台があるものだと思った。
舞台芸術はどれくらい自由になれるのか?
自由競争か?
ブッシュ政権が行ってきた自由主義競争よりも
さらに激しい自由主義がここにあった。
自由すぎてよくわからないところも一興。
自由の中から本当に面白いものだけが生き残っていく。
激しい世界である。
作・演出の上里雄大は1982年生まれ。
この世代の新たな舞台藝術のムーブメントが始まりつつある。
2009年の4月から5月にかけてこまばアゴラ劇場で
その年代に生まれた劇作家・演出家の連続公演がある。
選ばれた作家はと言うと。
柴幸男(青年団演出部/toi)篠田千明(快快)中屋敷法仁(柿喰う客)
神里雄大(岡崎藝術座)白神ももこ(モモンガ・コンプレックス)杉原邦生(KUNIO)の6名。
そのうち5名が1982年生まれ、ひとりだけ1984年生まれだそうである。
まだ26歳そこそこの世代から新しいムーブメントが起こり始めていることこそが
演劇のいいところだと思う。
総合芸術でこれだけ自由に出来るものは
他にあまり思いつく例がない。
そして、岡崎藝術座「初見」である。
Yさんから強力オススメを頂いた。
最初、劇団名からしてアングラ的なものなのか?
それにしてもタイトルの「リズム三兄妹」って。
これは「ダンゴ三兄弟」のパロディなのか?
そして演者や作家たちはあの名曲がヒットしてたころは
まだ中学生くらいだったんだなあと思った。
団子屋に行列が出来るほどの現象が起きたのは
遠い過去の話となった。
不思議な舞台だった。
まず、俳優の坂田役の男性がソファをやります
と言ってソファをする。
そこに三兄妹の姉である白神美央が入ってくる。
彼女はいつものポツドールなどの舞台とはまったく違う
ほとんど台詞を喋らない役で登場する。
舞台は三兄妹の部屋であるということがわかる。
トイレのシーンなどが印象的。
また彼女たちは服を脱ぐのだが、
服の上にパンツを履いており、それを脱ぐことによって
裸になるということを観客に想像させる。
そして、静かないたたまれない雰囲気の中、
そのいたたまれなさを解消してくれるかのように
巣恋歌という役の西田夏奈子が登場する。
バイオリンを弾きながら唄う彼女は魅力的である。
メロディがあることで救われた!という思いになる。
そして、台詞の中からリズムが登場してくる。
これは、柴幸男が「ミュージカル御前会議」でやった手法と似たもの。
台詞がある種のリズムに乗って話し出されると
ラップミュージックのように聴こえてくる。
そのようなジャンルのJ-POPが氾濫している今だからこその
発想と言えるのかもしれない。
そして彼らは、そのようなカタチを取ってコミュニケーションを続ける。
内田慈がもっとも正統な役に見えた。
対比してシミズショウコ役の召田実子はいったいなんだったんだ
という強い印象を残しながら
ハンガーにかけられた状態で舞台から上手へ掃けていった。
内容をこれ以上語っても、この舞台のことがわかりやすく理解できることではない。
と、ここまで書いてきて思った。
一見、一聴することでそのテイストが感じられる新たな表現なのかも知れない。
今回はその冒険に居合わせたというような感じだろうか?