前作「役にたたないオマエ」と対をなす作品。
同じ高校時代のエピソードがさらに拡がる。
本作は秋から冬、早春にかけての学校での物語。
喜安浩平の脚本は冴え、いつもながらの高いレベルで舞台が完成している。
そんなに有名でない舞台俳優さんを上手く使いイキイキと動かしている。
これはもう実力以外の何ものでもない。
今回は共同演出というカタチをとったそうである。
美術教師の役をしていた篠原トオルとの共同演出。
前回よりもより丁寧さと細かさが増したような気がしているが、
前作が随分前に見たものなので明確な比較が出来ない。
キャストもほぼ前回と同じである。
美術部、吹奏楽部、放送部、バスケ部の顧問や生徒たちが、出演している。
放送部の小室役(黒木絵美花)がかわいい。
男子生徒からも人気がある。
しかし彼女は、放送部の顧問の先生のことが好きである。
うちの妻に聞いたら、高校時代、同級生の男の子を好きになったことなんて
なかったそうである。もっぱら、先生に対して好意をもっていたそう。
男子生徒は幼すぎた!と言っていた。
自分を振り返ると、さらにガキっぽかったような記憶で一杯である。
そのガキっぽさはいまだに消えない。
この舞台を見て、あの年代に特有の雰囲気がうまく描けているなあと思った。
台詞が、本当に彼らがそこで喋っている言葉なのではないのだろうか?
と思わせるようなものになっており、
これが書けるのは凄い才能であるなあと思った。
現在の高校生活はこんな感じなんだろうか?
ブログをやっているアニメ好きの1年生女子。
マンガばっか読んでいる、同じ1年生の男子。
プロフを始めた2年生の女子。
彼女は後にヤリマンなどの風評が流れ苛められる。
それを、吹奏楽部の2年女子が裏で操っている。
それは表面的にはわからない。
闇の部分が深層に深層にと隠れてしまい、
なかなか表面化しないのが現在の特徴とも言えるだろう。
通奏低音のように闇の部分が基調に流れながらも、
高校生活は続いていく。
印象的だったのは美術顧問の先生の言葉。
才能がないことを自覚して他に出来ることもないので、
美術教師をやることになった男。
この教師自身も闇を抱えており、
才能をもっている若者たちに嫉妬している。
しかし、自分ではそれをどうすることも出来ないでいる。
彼の前には自分よりも長い未来を持った才能のある
キラキラした人たちが確実に現れてくる。
その感覚とともに美術教師は悶々と日々を過ごしている。
ある苛立ちとともに。同じように才能があまりなく
教育大学の美術学部に合格した3年男子に、この教師は言う。
「きっと後悔するときがくるぞ!」と。
美術教師の苦悩が同じ境遇の若者にぶちまけられる。
この美術教師は学校を辞める。
その本当の理由は明らかにされない。
新しい美術教師がやってきて、美術部員たちは4月になって、新しい部員を迎える。
「今年は3人来た!」というところで舞台は終わる。
こうして時は流れていく。人は流される。
観劇前にサンモール前の「更科」で大中華麺固め。
蕎麦屋の中華麺の中でも安定した美味しさである。