ヨーロッパツアー凱旋公演と銘打った本公演は、
この「あさきゆめみし」という源氏物語を題材にとったものの最後の公演。
だからファイナルというタイトルがつけられた。
choriは裏千家を継ぐ茶道界のホープであり、
同じく童司は茂山家という京都で狂言を担う若き新鋭である。
この二人が何か新しいことをやりたい、表現したいとして
始めたのがこの「chori/童司」というユニット。
初公演は2年前の4月1日に、同じ京都博物館別館で行われた。
烏丸御池駅を出て南へ下り三条通りを東へ行くと
旧い金融街なのか、明治時代あたりに建立されたと思われる
洋風建築の建物が現在も残っている町並みがある。
京都のマクドナルドを発見。
この辺りのマクドナルドの看板は
赤でなく茶色ベースに「M」のマークが書かれている。
パリのマクドナルドと同じである。
丁度、今年はパリと京都市が姉妹都市を結んで
50年になるそうである。
そのタイミングもあり、彼らは9月にパリ公演を行ったと
公演の前説で語っていた。
マクドナルドを過ぎると左手に赤レンガ造りの美しい建造物が現れる。
ここは,以前銀行だった建物だそうである。
この建物が今は、京都府博物館別館となっている。
京都府博物館の本館を抜けて別館入口で
ミホプロジェクトの美人スタッフ佐藤さんが受付をしていた。
プロデューサーの武智さんもその辺りをうろうろしている。
別館に入ると、天井の高さに驚く。
ああ、昔の銀行はこうだったんだなと思った。
天井には彫刻が施されている。
後ろを向くと鉄格子の形をした受付窓口が当時のまま、残されている。
その模様が美しく、まるでアールデコを模したものなのか?
そうなのか?わからないけどキレイ。
二人が登場する。前説を少し。
ヨーロッパツアーのことを中心に語られる。
この青年たちは育ちがいいのだな!と一見してわかる。
その品の良さは多くの女性を惹き付けることだろう。
一緒に見に行ったMさんは
まるで「studio life」という演劇集団に出てくるような
美少年系であるとおっしゃっていて妙に納得した。
彼らの固定ファンが前の方の席を確保する。
それもまた上品な女性が多く、これはあるクラスの集まりなんだろうか?とも思う。
京都にはそのような階級制度が
いまだに存在しているのかもしれないなと思った。
そんなところまでパリに似ている。
公演が始まる。
「源氏物語」の何節かを抽出して描き出す。
choriの詩の朗読と童司の謡と踊りと語りが交互に繰り返される。
邦楽やピアノ曲が流れてそれにあわせ詩を朗読し舞い踊る。
生演奏だったらどんなに良かっただろうと思った。
ホールの残響が童司の謡いを印象的にした。
「空蝉」「夕顔」「葵」「若紫」「藤壺」の順で行われる。
「夕顔」の童司の語りあたりから、ぐうううんと惹き込まれた。
源氏が夕顔と出会うシーンが印象的に描き出される。
茂山家の持つ伝統が童司の表情を光源氏にする。
この場所が1000年前の京都のように思えてくる。
「藤壺」の段でchoriと童司は融合する。
この融合の仕方が問題である。
まったく異質な二人のキャラクターを高い段階へと
昇華していくためにはさらなる演出的な工夫や根本的な解決策が求められる。
彼らの今後の課題はここにある。
これをクリアすることでさらなる高みにたどりつき、
新たな価値を持った、chori/童司が完成するのだろう。
激しい音楽とともに力強く語ったchoriの詩の朗読も印象的だった。