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毎年、この時期になると行われた「東京芸術見本市」、通商TPAMが 今回、少し形を変えて大々的なプロジェクトに生まれ変わった。 名づけて、「フェスティバル/ト-キョー」。 東京の文化発信プロジェクトの一環である。 組織委員に、アサヒビール会長や資生堂名誉会長の名も 演劇人とともに連ねられている。 プログラム・ディレクターは相馬千秋。 先日、NHKスペシャルの「沸騰都市」の最終回が「東京」だった。 東京ってすごい都市なんだと思う。 超効率化された都市。 例えば、金融関係の主だった会社の七割は丸の内に集中している、と。 打ち合わせなどをするのに、移動が十分以内で行われる効率の良さは 世界一だそうである。 実は、舞台を初めとうする、文化芸術に関しても ある種世界一なのではないかと思うことがある。 東京圏の居住人口は3000万人を超えると言われている。 そこで、毎日のように多くの舞台芸術の公演が行われている。 特に、小劇場と言われている公演が小さな劇場でたくさん毎日のように行われている。 実際に調べたわけではないが、ミュージカルなどを別として、 ニューヨークやロンドンでもここまで多彩な舞台芸術が行われている場所は 他にはないのではないだろうか?当然、玉石混交の世界である。 プロではないものたちも、舞台芸術に参加して様々な表現を生み出そうとしている。 まるでWEB2・0のような世界が 現実に東京では行われている。 様々な人が発信者になれる世界。 本作の出演者たちも舞台俳優ではない素人たちが出演している。 このリミニ・プロコトルという集団は3名からなる。 「ドキュメンタリー演劇の手法を用いた 型破りなプロジェクトの数々で世界の注目を集めている。」と書かれている。 ドイツ、フランクフルトで結成された集団。 ここでは、ある、テーマに関して特別な経験や知識を持っている人が、 その人の実名とともに出演するというもの。 その人たちが今回もそのまま舞台に上がり、彼らの言葉で語り始める。 今回のテーマはタイトル通り「マルクスの資本論」。 ドイツ人と日本人を中心とした様々な職業の人々12名からなる構成。 劇場に入ると、舞台は大きな本棚が置かれているようなセット。 奥行き1メートル。高さ6メートル、幅12メートルくらいの 大きな本棚にはもちろん、「資本論」が並べられ、 本日の出演者たちが棚の中で作業をしたり、腰かけたりして 観客を迎え入れるという手法になっている。 カラーライティングされPOPで美しい空間。 見方を変えると、知の集積された、アムステルダムに代表される飾り窓のような雰囲気もある。 知の記号化、ブランド化? 資本論を研究し続けてきた学者の先生や 全盲者でコールセンターに勤める珍しいレコードを集めているコレクター、 ロシア語の通訳&翻訳者や、中国を専門とするコンサルタント、 映画作家、歴史学者や機械工をしながらギャンブル中毒になり、 ギャンブル依存症の自助グループの指導者である人などなどが 次々と登場し、語り、レコードをかけ音楽が流れる。 棚には大きな液晶モニターが二つ置かれており、 テレビのスーパーインポーズのような役割を果たす。 彼らの肩書などが喋っているときに映し出されたり、 喋っている内容の記録映像が流れたり、 棚に置かれているCCDカメラで写真やイラストを写し、 撮影されているものがモニターに映しだされたりする。 そのようにしてこの舞台は進んでいく。 アナログなインタラクティブさが演劇的である。 そしてこの演劇は、 まるで、人物インタビューのドキュメンタリー映画のようである。 「ショアー」というナチス時代のユダヤ人に対して 延々とインタビューをした9時間近い映画があったが まさにそのような感覚の舞台を見ているような気になる。 ドイツ語の音声が個人的に耳触りが良くなく、 ひきつるような発声が字幕のテンポとともに気持ちが悪かった。 字幕の操作を舞台の上で実際に、 萩原ヴァレントヴィッツ健さんが操作していたのは面白かった。 時々、彼は字幕ではなく同時通訳を行って舞台に参加するのである。 このインタラクティブ感も演劇的である。 戦前から戦後そして2009年さらに今から15年後までの時代を設定し、 その時代に合わせたようなことをそれぞれがそれぞれの言葉で語る。 そして、その時代に「資本論」は どのような影響があったのかというようなことも時々織り込まれる。 ここでは織り込みのリーフレットにも書かれていたように 「資本論」でマルクスが言いたかったことを伝えるために行われているのではなく、 この「資本論」という半ば記号化したブランドが、 いかに流通され、いかに読まれているのかということを 解き明かしていこうとする試みがなされている。 多くのデータや事実が具体的な数字とともに記述される。 実際、この大作を全巻読み理解した人はどれくらいいたのだろう? 中国で発行されている「資本論」は子供向けのようなダイジェスト版で 挿絵や写真がふんだんに使われていた。 様々な、「資本論」の形が僕たちに示される。 舞台の途中で本棚に並べられていた大月書店から出ている「資本論」第1巻(三分冊)が 観客一人一人に渡される。舞台の途中で分冊1巻の○○ページをご覧ください。 と言って、開けると、そのページのある個所にラインマーカーが引かれている。 その参照がいくつか続く。 具体的な言葉は難しくて覚えていないが、おぼろげに感じてくるものがあった。 ここで言っているのは、現在、世界的なリセッション(不況)で、 労働者に対して企業側が行っていることがここに書かれていると暗示される。 日本でも、派遣労働者法によって雇用された労働者が 不況という名のもとに、雇用された時と同じように簡単に解雇されている。 そして彼らは保障すらない。そういう法律だったのである。 今月号の広告批評で橋本治は語っていた。 「派遣切り」がそのまま「路頭に迷う」になるのは、 そうした「派遣労働者のセーフティネット」が無視されているからだ。 そんな「規制緩和」があるものか。それは「法の抜け道探しの労働力の搾取」というものだ。 昨年「蟹工船」が売れたことも、この雇用格差の流れと関係があるのだろうか? これからますます拡大していくかもしれない格差をそのままにしていくことが 国民にとってはたして幸せなことなのであるのだろうか? 本当の幸せとはいったい何なのか? 社会主義が崩壊し、そして、資本主義も崩壊しようとしつつある現在、 いったいどのようにすればいいのかが問われるこの時代に まさにタイムリーな企画の演劇であるのかも知れないと思った。 3月1日まで。 ▲
by haruharuyama
| 2009-02-27 08:49
| 舞台
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